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最終データ更新日:2007-03-31
Amphotericin B (Liposomal) [L-AMB]
アムホテリシンB リポソーム製剤, 抗真菌剤
1. 商品名
先発品
- アムビゾーム点滴静注用50mg 【大日本住友製薬】
2. 日本における発売年
2006(平成18)年
3. 特長
- 本剤は、アムホテリシンB をリポソームの脂質二分子膜中に封入することにより、アムホテリシンB の真菌に対する作用を維持しながら副作用を軽減したDDS製剤である。
- 本剤はアスペルギルス属、カンジダ属又はクリプトコッカス属等の病原真菌に対し幅広い抗真菌活性を示し、その作用は殺菌的である。
- 本剤は真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症に対しても臨床効果を示す。
- 海外40ヶ国以上で既に発売され、使用実績のある薬剤である。
4. 承認済有効菌種
- アスペルギルス属
- カンジダ属
- クリプトコッカス属
- ムーコル属
- アブシジア属
- リゾプス属
- リゾムーコル属
- クラドスポリウム属
- クラドヒアロホーラ属
- ホンセカエア属
- ヒアロホーラ属
- エクソフィアラ属
- コクシジオイデス属
- ヒストプラズマ属及びブラストミセス属による次の感染症:真菌血症、呼吸器真菌症、真菌髄膜炎、播種性真菌症
5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種
- ムコールをはじめとする接合菌
- トリコスポロン
- フサリウム
- ブラストマイセス
- ヒストプラズマ
- ホルモデンドラム
- ホルミシチウム
6. 用法・用量
真菌感染症
- 体重1kg当たりアムホテリシンBとして2.5mg(力価)を1日1回、1~2時間以上かけて点滴静注する。
- 患者の症状に応じて適時増減できるが、1日総投与量は体重1kg当たり5㎎(力価)までとする。
- 但し、クリプトコッカス髄膜炎では、1日総投与量は体重1kg当たり6㎎(力価)まで投与できる。
真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症
- 体重1kg当たりアムホテリシンBとして2.5㎎(力価)を1日1回、1~2時間以上かけて点滴静注する。
7. 作用機序
- 点滴注射後血流に入ったアムビゾームは、ほとんどアムホテリシンBを漏出することなく体内を循環する。真菌感染症部位で真菌と接触した際、本剤の有効成分であるアムホテリシンBは、真菌の細胞膜成分であるエルゴステロールに高い親和性を持ち、エルゴステロールと結合することにより、真菌細胞膜の透過性を高め、細胞質成分を漏出させ、真菌を死滅させる。
8. 血中半減期は長い
1時間点滴 (2.5㎎/kg/日) | T1/2 | 9.8時間 |
9. 排泄経路
- 腎………尿中 (参考:ラット投与後72時間で4.3%)
- 肝臓………胆汁中 (参考:ラット投与後72時間で5.9%)
10. 臓器移行性
- ◎:≧25μg/ml
- ○:25>~≧3
- △:3>~≧1
- x:1>
- -:データなし
腎・尿路 | △(ラット) |
---|---|
肝・胆汁 | ◎(イヌ) |
喀痰・気管支分泌液 | ― |
骨髄 | ― |
骨盤腔 | ― |
臍帯血 | ― |
骨 | ― |
腹腔 | ― |
母乳 | ×(ラット) |
扁桃腺 | ― |
羊水 | ×(ラット) |
髄液 | ― |
腸管 | ― |
副鼻腔 | ― |
筋・皮下組織 | ― |
胸腔 | ― |
眼 | ― |
歯槽 | ― |
11. 副作用
- ◎:5%以上
- ○:0.1%以上5%未満
- △:0.1%未満
- ×:これまでに報告はない
- ?:頻度不明
- !:同系薬剤で報告がある
- !!:大量投与時に起こる
- *:肝障害NOS
- **:貧血NOS
ショック | ○ |
---|---|
過敏症 | ? |
腎障害 | ◎ |
肝障害 | ○ * |
消化器障害 | ◎ |
血液・造血器障害 | ○ |
溶血性貧血 | ○ ** |
精神・神経系障害 | ◎ |
聴覚障害 | △ |
Vit.B・K 欠乏症 | × |
偽膜性大腸炎 | × |
電解質異常 | ◎ |
Antabuse作用 | 無 |
12. 使用上の注意
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 白血球を輸注中の患者
原則禁忌
- なし
慎重投与
- 腎障害のある患者〔本剤の投与により、更に腎機能が低下するおそれがある。〕
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- 大豆アレルギーのある患者〔本剤の添加物に大豆由来の成分が含まれるため。〕
相互作用 併用禁忌
白血球輸注
- 白血球輸注中又は直後にアムホテリシンBを投与した患者に、急性肺機能障害がみられたとの報告がある。[機序は不明である。]
相互作用 併用注意
シスプラチン、ペンタミジン、アミノグリコシド系抗生物質、塩酸バンコマイシン、シクロスポリン、ガンシクロビル、タクロリムス水和物、ホスカルネット、ナトリウム水和物
- 腎障害が発現、悪化するおそれがあるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[両薬剤とも腎毒性をもつ。]
副腎皮質ホルモン剤(ヒドロコルチゾン等)、ACTH
- 低カリウム血症を増悪させるおそれがあるので、血清中の電解質及び心機能を観察すること。[副腎皮質ホルモンは血清カリウムを排泄する作用がある。]
三酸化ヒ素
- 血清電解質の異常をきたし、左記の薬剤によるQT延長が発現するおそれがあるので、血清中の電解質及び心機能を観察すること。[両薬剤とも血清電解質の異常を引き起こすことがある。]
強心配糖体(ジギトキシン、ジゴキシン等)
- ジギタリスの毒性(不整脈等)を増強するおそれがあるので、血清電解質及び心機能を観察すること。[本剤による低カリウム血症により、多量のジギタリスが心筋Na-K ATPase に結合し、心筋収縮力増強と不整脈が起こる可能性がある。]
抗不整脈剤
- 抗不整脈剤の催不整脈作用を増強するおそれがあるので、血清電解質及び心機能を観察すること。[本剤による低カリウム血症のため、抗不整脈剤の毒性が増強される可能性がある。]
非脱分極性筋弛緩剤(塩化ツボクラリン、塩化パンクロニウム等)
- クラーレ様薬剤の麻痺作用を増強し、呼吸抑制が起こるおそれがある。[本剤による低カリウム血症により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用を増強させる可能性がある。]
フルシトシン
- フルシトシンの毒性(骨髄抑制作用)を増強させるおそれがある。[アムホテリシンBによるフルシトシンの細胞内取り込み促進や腎排泄障害作用により、フルシトシンの毒性が増強される可能性がある。]
利尿剤(フロセミド等)
- 腎障害を発現、悪化するおそれがあるので、併用する場合は十分に塩類を補給し、腎毒性の軽減をはかることが望ましい。[利尿剤によるナトリウム欠乏により、本剤による腎血流量の減少を助長する可能性がある。]
頭部放射線療法
- 併用により白質脳症があらわれるおそれがある。[頭部放射線照射により血液脳関門に変化が生じ、アムホテリシンBの神経毒性が発症する。]
臨床検査値への影響
13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)
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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。