製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2010-07-31

Enviomycin [EVM]

エンビオマイシン, ペプタイド系

1. 商品名

先発品

  • ツベラクチン筋注用1g 【旭化成ファーマ】

2. 日本における発売年

1975(昭和50)年

3. 特長

  • 抗酸菌に対して強い抗菌力を有する。
  • 臨床試験における有効率は初回治療例で98.7%(78/79)、再治療例で39.1%(330/844)である。
  • 総症例305例中、101例(33.11%)に副作用が認められた。(承認時)

4. 承認済有効菌種

  • エンビオマイシンに感性の結核菌

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

6. 用法・用量

筋注

  • 1回1g(力価)1日1回  初めの90日間は毎日、その後は1週間に2日(適宜増減)
  • 1バイアル〔1g(力価)〕当り注射用蒸留水2?4mLに溶解
  • 他の抗結核剤と併用が望ましい。

7. 作用機序

  • リボゾームの蛋白合成を阻害することによって抗菌作用を示す。

8. 血中半減期は比較的長い

筋注 2.70±1.97hr
(Tmax:投与後2時間)

9. 排泄経路

  • 腎………約75%

10. 臓器移行性

  • ◎:≧25μg/ml
  • ○:25>~≧3
  • △:3>~≧1
  • x:1>
  • -:データなし
  • *:実験動物データ
腎・尿路 ◎*
肝・胆汁 ◎*
喀痰・気管支分泌液
骨髄
骨盤腔
臍帯血
腹腔
母乳
扁桃腺
羊水
髄液
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽
×*
◎*
◎*
血液 ◎*

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
ショック
過敏症
腎障害
肝障害
消化器障害
血液・造血器障害
溶血性貧血
精神・神経系障害
聴覚障害
Vit.B・K 欠乏症
偽膜性大腸炎
電解質異常
Antabuse作用
呼吸抑制
循環器障害
注射部位障害

12. 使用上の注意

禁忌

  • 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者

原則禁忌

  • 本人又は家族がストレプトマイシン難聴又はその他の難聴の患者[難聴が発現又は増悪するおそれがある。]

慎重投与

  • アミノグリコシド系抗生物質(ストレプトマイシン、カナマイシン等)又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者
  • 腎障害のある患者[高い血中濃度が持続し、第8脳神経障害又は腎障害があらわれるおそれがあるので、投与量を減ずるか、投与間隔をあけて使用すること。]
  • ジギタリス剤、糖質副腎皮質ホルモン剤又は利尿剤の投与をうけている患者
  • 高齢者

相互作用 併用注意

  • アミノグリコシド系抗生物質、ポリペプチド系抗生物質(ストレプトマイシン、カナマイシン等)[第8脳神経障害及び腎障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること]
  • 麻酔剤、筋弛緩剤(ツボクラリン、臭化パンクロニウム、臭化べクロニウム、A型ボツリヌス毒素等)[呼吸抑制があらわれるおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。呼吸抑制があらわれた場合には、必要に応じ、コリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行うこと]
  • ジギタリス剤(ジゴキシン等)[不整脈等を起こすおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること]
  • 糖質副腎皮質ホルモン剤、利尿剤 [過剰のカリウム放出を起こすおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること]
  • 他の抗結核剤(リファンピシン、イソニアジド等)[肝障害があらわれることがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、慎重に投与すること]

臨床検査値への影響

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Mycobacterium avium F 1.6
Mycobacterium smegmatis 3.2
Mycobacterium spp. ATCC 607 6.3
Mycobacterium tuberculosis H37Rv 0.5~5
    H37Rv 2.5~5
    H37Rv 10~25
    H37Rv 3.2
Nocardia asteroides 3.2
Salmonella paratyphi A 25
Bacillus subtilis × PCI 219 12.5
Escherichia coli × NIHJ 50
    B 100
Kocuria rhizophila × ATCC 1001 100
Micrococcus luteus × >100
Pseudomonas aeruginosa × >100
Salmonella paratyphi B × 100
Shigella flexneri × 100
Shigella sonnei × >100
Staphylococcus aureus × FDA 209P >100
Staphylococcus citreus × 50
Staphylococcus epidermidis × >100
Vibrio cholerae ×  (A) >100