製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2007-03-31

Prulifloxacin [PUFX]

プルリフロキサシン, ニューキノロン系

1. 商品名

先発品

  • スオード錠100 【Meiji Seika ファルマ】

2. 日本における発売年

2002(平成14)年

3. 特長

  • 臨床試験において、呼吸器感染症、尿路感染症、感染性腸炎及びその他の感染症に対し良好な有効率(87.0%、2,006/2,307例)を示す。
  • 胆嚢組織及び胆汁への良好な移行性により胆嚢炎、胆管炎に対し高い有効率(90.0%、27/30例)を示す。
  • グラム陽性菌及び緑膿菌を含むグラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトルを有す。
  • 菌体内移行性が高く、強い短時間殺菌力を示す。
  • 緑膿菌に対する強い抗菌力により、マウスの呼吸器感染・尿路感染モデルにおいて良好な治療効果を示す。

4. 承認済有効菌種

  • 本剤の活性体(ulifloxacin)に感性のブドウ球菌属
  • レンサ球菌属
  • 肺炎球菌
  • 腸球菌属
  • モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス
  • 大腸菌
  • 赤痢菌
  • サルモネラ属(チフス菌、パラチフス菌を除く)
  • シトロバクター属
  • クレブシエラ属
  • エンテロバクター属
  • セラチア属
  • プロテウス属
  • コレラ菌
  • インフルエンザ菌
  • 緑膿菌
  • ペストストレプトコッカス属

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

6. 用法・用量

  • 通常、成人に対して、プルリフロキサシンとして1回264.2 mg(活性本体として200 mg)を1日2回経口投与する。
  • なお、症状により適宜増減するが、1回用量は396.3 mg(活性本体として300 mg)を上限とする。
  • 肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染には、プルリフロキサシンとして1回396.3 mg(活性本体として300 mg)を1日2回経口投与する。

7. 作用機序

  • DNAジャイレース活性を阻害することにより抗菌力を示す。

8. 血中半減期

経口 T1/2β 8.9時間 (投与量0.2g)

9. 排泄経路

  • 腎………約40%

10. 臓器移行性

  • ◎:≧25μg/ml
  • ○:25>~≧3
  • △:3>~≧1
  • x:1>
  • -:データなし
腎・尿路
肝・胆汁
喀痰・気管支分泌液
骨髄
骨盤腔
臍帯血
腹腔
母乳
扁桃腺
羊水
髄液 ×
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
ショック
過敏症
腎障害
肝障害
消化器障害
血液・造血器障害
溶血性貧血
精神・神経系障害
聴覚障害
Vit.B・K 欠乏症 ×
偽膜性大腸炎
電解質異常 ×
Antabuse作用 ×

12. 使用上の注意

禁忌

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
  • 小児等
  • フェンブフェン、フルルビプロフェン アキセチル、フルルビプロフェンを投与中の患者

原則禁忌

慎重投与

  • 高度の腎障害のある患者[高い血中濃度が持続するので、投与量を減ずるか、投与間隔をあけて使用すること]。
  • てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすおそれがある。]
  • 高齢者

相互作用 併用注意

  • テオフィリン、アミノフィリン等[テオフィリンの血中濃度を上昇させ、その作用を増強させることがある。併用する場合にはテオフィリンを減量するなど適切な処置を行う。]
  • フェニル酢酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤(ただしフェンブフェンは併用禁忌)、ジクロフェナク等プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤(ただしフルルビプロフェン アキセチル及びフルルビプロフェンは併用禁忌)、ケトプロフェン等[痙攣を起こすおそれがある。症状が認められた場合、両剤の投与を中止するなど適切な処置を行う。]
  • アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸剤、鉄剤、カルシウム含有製剤[本剤の効果が減弱されるおそれがある。これらの薬剤を投与する場合は、本剤投与後2時間以上あけるなど注意すること。]
  • H2-受容体拮抗剤(シメチジン等)、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール等)[本剤の効果が減弱されるおそれがある。]

臨床検査値への影響

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

備考欄の「※」にマウスポインタを合わせると注釈事項を表示します。

このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Acinetobacter calcoaceticus 1.56 0.78 0.39
Bilophila wadsworthia 0.39
Citrobacter freundii 0.1 0.2 ≦0.025
Desulfovibrio piger 0.1
Enterobacter aerogenes 0.2 0.39 0.05
Enterobacter cloacae 0.1 0.39 0.05
Escherichia coli 0.05 0.05 ≦0.025
Finegoldia magna 0.1 0.78 0.2
Fusobacterium nucleatum 0.39
Gemella morbillorum 0.39
Haemophilus influenzae 0.05 0.05
Klebsiella pneumoniae 0.025 0.05 0.05
Moraxella [B] catarrhalis 0.1 0.1
Morganella morganii 0.2 0.39 0.05
Neisseria gonorrhoeae 0.025 0.05 ≦0.025
Peptoniphilus asaccharolyticus 0.39 0.78 0.2
Porphyromonas gingivalis 0.1
Prevotella intermedia 0.2 3.13 0.39
Prevotella oris 0.2 3.13 0.39
Propionibacterium acnes 0.2 0.2 0.2
Proteus mirabilis 0.1 0.1 ≦0.025
Proteus vulgaris 0.2 0.1 ≦0.025
Providencia rettgeri 0.2 3.13 ≦0.025
Pseudomonas aeruginosa 0.2 12.5 0.39
Salmonella enterica subsp. enterica 0.025 0.05 ≦0.025
Shigella flexneri 0.025 ≦0.025 ≦0.025
Shigella sonnei 0.025 ≦0.025 ≦0.025
Streptococcus intermedius 0.78
Streptococcus pneumoniae 0.39 1.56 0.78
Streptococcus pyogenes 0.2 0.39 0.2
Veillonella parvula 0.1
Vibrio cholerae 0.05 ≦0.025
Bifidobacterium bifidum 1.56
Bifidobacterium breve 1.56
Serratia marcescens 0.2 12.5 1.56
Staphylococcus aureus 0.1 1.56 0.39
Staphylococcus epidermidis 3.13 0.2
Bacteroides fragilis 3.13 50 6.25
Enterococcus faecalis 0.39 12.5 1.56
Lactobacillus acidophilus 12.5
Lactobacillus fermentum 6.25