製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2014-01-24

Levofloxacin [LVFX]

レボフロキサシン, ニューキノロン系

1. 商品名

先発品

  • クラビット錠250mg/クラビット錠500mg/クラビット細粒10% 【第一三共】
  • クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL/クラビット点滴静注500mg/20mL 【第一三共】

後発品

  • レボフロキサシン錠100mg「BT」 【バイオテックベイ】
  • レボフロキサシン錠100mg「CH」/レボフロキサシン細粒10%「CH」 【長生堂製薬, 日本ジェネリック】
  • レボフロキサシン錠100mg「ケミファ」 【大興製薬, 日本ケミファ】
  • レボフロキサシン錠100mg「F」 【富士製薬工業】
  • レボフロキサシン錠100mg「JG」 【日本ジェネリック】
  • レボフロキサシン錠100mg「杏林」 【キョーリンリメディオ, 杏林製薬, 日本薬品工業, 興和, 興和ジェネリック】
  • レボフロキサシン錠100mg「MEEK」 【小林化工, Meiji Seika ファルマ】
  • レボフロキサシン錠100mg「NP」 【ニプロファーマ】
  • レボフロキサシン錠100mg「TCK」 【辰巳化学】
  • レボフロキサシン錠100mg「TYK」 【テバ製薬, 大正薬品工業】
  • レボフロキサシン錠100mg「YD」/レボフロキサシン細粒10%「YD」 【陽進堂, 富士フイルムファーマ】
  • レボフロキサシン錠100mg「ZE」 【全星薬品工業, 全星薬品】
  • レボフロキサシン錠100mg「あすか」 【あすか製薬, 武田薬品工業】
  • レボフロキサシン錠100mg「アメル」/ レボフロキサシン細粒10%「アメル」 【共和薬品工業】
  • レボフロキサシン錠100mg「イセイ」 【イセイ, カイゲン】
  • レボフロキサシン錠100mg「イワキ」 【岩城製薬】
  • レボフロキサシン錠100mg「オーハラ」/ レボフロキサシン細粒10%「オーハラ」 【大原薬品工業】
  • レボフロキサシン錠100mg「サワイ」/レボフロキサシン細粒10%「サワイ」 【沢井製薬】
  • レボフロキサシン錠100mg「タイヨー」 【テバ製薬, ザイダスファーマ】
  • レボフロキサシン錠100mg「トーワ」 【東和薬品】
  • レボフロキサシン錠100mg「マイラン」/レボフロキサシン細粒10%「マイラン」 【マイラン製薬】
  • レボフロキサシン錠100mg「科研」 【シオノケミカル, 科研製薬】
  • レボフロキサシン錠100mg「日医工」/レボフロキサシン細粒10%「日医工」 【日医工】
  • レボフロキサシン細粒10%「タカタ」/ レボフロキサシン錠100mg「タカタ」 【高田製薬】
  • レボフロキサシン内用液25mg/mL「トーワ」 【東和薬品】
  • レボフロキサシン錠100mg「ファイザー」/ レボフロキサシン細粒10%「ファイザー」 【ファイザー】

2. 日本における発売年

1993(平成5)年

3. 特長

  • グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し,広い抗菌スペクトラムを示す.
  • 体液・組織移行性は良好で,約90%が未変化体で尿中排泄される.
  • 幅広い適応症をもち,各種感染症の治療に優れた効果を示す.

4. 承認済有効菌種

錠・細粒

  • 本剤に感性のブドウ球菌属
  • レンサ球菌属
  • 肺炎球菌
  • 腸球菌属
  • 淋菌
  • モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス
  • 炭疽菌
  • 大腸菌
  • 赤痢菌
  • サルモネラ属
  • チフス菌
  • パラチフス菌
  • シトロバクター属
  • クレブシエラ属
  • エンテロバクター属
  • セラチア属
  • プロテウス属
  • モルガネラ・モルガニー
  • プロビデンシア属
  • ペスト菌
  • コレラ菌
  • インフルエンザ菌
  • 緑膿菌
  • アシネトバクター属
  • レジオネラ属
  • ブルセラ属
  • 野兎病菌
  • カンピロバクター属
  • ペプトストレプトコッカス属
  • アクネ菌
  • Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)
  • トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)
  • 肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)
  • 肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

点滴静注

  • レボフロキサシンに感性のブドウ球菌属
  • レンサ球菌属
  • 肺炎球菌
  • モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス
  • 炭疽菌
  • 大腸菌
  • チフス菌
  • パラチフス菌
  • クレブシエラ属
  • エンテロバクター属
  • セラチア属
  • ペスト菌
  • インフルエンザ菌
  • 緑膿菌
  • アシネトバクター属
  • レジオネラ属
  • ブルセラ属
  • 野兎病菌
  • Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)
  • 肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)
  • 肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

6. 用法・用量

錠・細粒

  • 通常、成人にはレボフロキサシンとして1回500mg(錠500mg:1錠、錠250mg:2錠、もしくは細粒10%:5g)を1日1回経口投与する。なお、疾患・症状に応じて適宜減量する。
  • 腸チフス、パラチフスについては、レボフロキサシンとして1回500mg(錠500mg:1錠、錠250mg:2錠、もしくは細粒10%:5g)を1日1回14日間経口投与する。

点滴静注

  • 通常、成人にはレボフロキサシンとして1回500mgを1日1回、約60分間かけて点滴静注する。

7. 作用機序

  • 本剤は、細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVに作用し、DNA複製を阻害する。DNAジャイレース及びトポイソメラーゼIV阻害活性は、オフロキサシンの約2倍の強さであった。抗菌作用は殺菌的であり、MIC付近の濃度で溶菌が認められた。

8. 血中半減期

500mg経口投与 t1/2 7.89±1.04hr
500mg点滴静注 t1/2 8.05±1.54hr
(Tmax : 500mg経口投与 0.99±0.54hr, 500mg点滴静注 1.00±0.00hr)

9. 排泄経路

  • 腎………85% (投与後48時間)

10. 臓器移行性

  • ◎:≧10μg/ml
  • ○:10>~≧1
  • △:1>~≧0.5
  • x:0.5>
  • -:データなし
腎・尿路
肝・胆汁
喀痰・気管支分泌液
骨髄
骨盤腔
臍帯血
腹腔
母乳
扁桃腺
羊水
髄液 ×
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽
前立腺組織
前立腺液
精巣組織・精巣上体組織
精液
子宮組織・子宮付属器
皮膚組織
唾液腺
上顎洞粘膜
耳漏
涙液
前房水

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
ショック
過敏症
腎障害
肝障害
消化器障害
血液・造血器障害
溶血性貧血
精神・神経系障害
聴覚障害
Vit.B・K 欠乏症 ×
偽膜性大腸炎
電解質異常 ×
Antabuse作用

12. 使用上の注意

禁忌

  • 本剤の成分及びオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
  • 小児等

原則禁忌

慎重投与

錠・細粒

  • 高度の腎障害のある患者[高い血中濃度の持続が認められている]
  • てんかん等のけいれん性疾患又はこれらの既往歴のある患者[けいれんを起こすおそれがある]
  • キノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者[QT延長を起こすことがある]
  • 重症筋無力症の患者[症状を悪化させることがある]
  • 高齢者

点滴静注

  • 高度の腎障害のある患者[高い血中濃度の持続が認められている]
  • うっ血性心不全、腎不全、ネフローゼ症候群等、ナトリウムの摂取が問題となる患者[バッグ製剤には塩化ナトリウムが含まれている]
  • てんかん等のけいれん性疾患又はこれらの既往歴のある患者[けいれんを起こすおそれがある]
  • キノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者[QT延長を起こすことがある]
  • 重症筋無力症の患者[症状を悪化させることがある]
  • 高齢者

重要な基本的注意

錠・細粒

  • 意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

点滴静注

  • 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
  • 1)事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
  • 2)投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
  • 3)投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に投与開始直後は注意深く観察すること。
  • 意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

相互作用 併用注意

錠・細粒

  • フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤[けいれんを起こすおそれがある]
  • アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸剤,鉄剤[本剤の吸収が低下し,効果が減弱されるおそれがある]
  • クマリン系抗凝固薬[ワルファリンの作用を増強し、プロトロンビン時間の延長が認められたとの報告がある]

点滴静注

  • フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤[けいれんを起こすおそれがある]
  • クマリン系抗凝固薬[ワルファリンの作用を増強し、プロトロンビン時間の延長が認められたとの報告がある]

臨床検査値への影響

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

備考欄の「※」にマウスポインタを合わせると注釈事項を表示します。

このデータは、主として発売時のデータに、今回の更新にあたり一部改訂・追加したものであり、現時点に適合しないものも含まれています。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Bacillus anthracis 0.05
Citrobacter freundii 0.05 * 0.1 ** 0.05
Clostridium perfringens 0.2
Clostridium tetani 0.1
Corynebacterium diphtheriae 0.2
Enterobacter aerogenes 0.05 * 0.1 ** 0.1
Enterobacter cloacae 0.05 * 0.2 ** 0.1
Escherichia coli 0.025 * 8 ** ≦0.06
Haemophilus influenzae 0.025 * ≦0.06 ** ≦0.06
Klebsiella oxytoca 0.05 0.2 ** 0.1
Klebsiella pneumoniae ≦0.06 * 0.25 ** ≦0.06
Morganella morganii ≦0.006 * 0.39 ** 0.2
Neisseria gonorrhoeae ≦0.006 * 16 ** 8
Neisseria meningitidis 0.012
Peptostreptococcus spp. 0.1~3.13
Proteus mirabilis 0.025 * 8 ** 0.5
Proteus vulgaris 0.1 * 0.2 ** 0.1
Pseudomonas putida 0.025
Salmonella enterica subsp. enterica 0.025
Salmonella paratyphi A 0.012
Salmonella typhi 0.025
Serratia marcescens 0.1 6.25 ** 0.39
Shigella spp. 0.025 ≦0.05 ** ≦0.05
Vibrio cholerae ≦0.006 0.025 ** 0.012
Bacteroides fragilis 0.78~1.56
Campylobacter jejuni * 0.39 ** 0.2
Propionibacterium acnes 0.39 * 0.5 ** 0.5
Staphylococcus aureus 0.1 * 0.5 ** 0.25
Staphylococcus aureus (MRSA) * 0.39 ** 0.2
Staphylococcus epidermidis 0.2 * 2 ** 0.25
Streptococcus intermedius 0.78
Acinetobacter spp. 0.2 1.56 ** 0.2
Bacteroides vulgatus 3.13
Chryseobacterium meningosepticum 1.56 * 0.39 ** 0.1
Clostridium difficile 3.13
Enterococcus faecalis 0.78 3.13 ** 1.56
Enterococcus faecium * 3.13 ** 1.56
Fusobacterium varium 3.13
Providencia rettgeri 0.05 * 1.56 ** 0.39
Streptococcus agalactiae * 64 ** 1
Streptococcus pneumoniae 0.78 * 1 ** 1
Streptococcus pyogenes 0.39 * 2 ** 0.5
Enterococcus avium × 25 ** 1.56
Pseudomonas aeruginosa × 0.78 25 ** 1.56