製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2010-07-31

Gentamicin [GM]

ゲンタマイシン, アミノグリコシド系

1. 商品名

先発品

  • ゲンタシン注10/ ゲンタシン注40/ゲンタシン注60 【MSD】

後発品

  • エルタシン注40mg/エルタシン注60mg 【富士製薬工業】
  • ルイネシン注40mg/ルイネシン注60mg 【日医工, 日医工ファーマ】

2. 日本における発売年

1970(昭和45)年

3. 特長

  • グラム陽性菌から陰性菌まで,幅広い抗菌力を示す.
  • 速やかな殺菌作用を示す.

4. 承認済有効菌種

  • ゲンタマイシンに感性のブドウ球菌属
  • 大腸菌
  • クレブシエラ属
  • エンテロバクター属
  • セラチア属
  • プロテウス属
  • モルガネラ・モルガニー
  • プロビデンシア属
  • 緑膿菌

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

  • シトロバクター・フロインディー

6. 用法・用量

[注]

  • 1日80~120 mg(力価)を2~3回に分割して筋注又は点滴静注,小児1回0.4~0.8 mg(力価)/kg 1日2~3回筋注(増減)
  • 点滴静注は30分~2時間かけて注入する

外皮用

  • 1日1~数回塗布するか,あるいはガーゼなどにのばしたものをはる

眼科用

  • 1回1~2滴,1日3~4回点眼

7. 作用機序

  • 細菌のリボゾームに作用し,蛋白合成を阻害し,殺菌的に作用する.

8. 血中半減期は比較的長い

1時間点滴 β1/2 132分
筋注 β1/2 102分
(t max:投与後30分)

9. 排泄経路

  • 腎………約90%以上

10. 臓器移行性

  • ◎:≧25μg/ml
  • ○:25>~≧3
  • △:3>~≧1
  • x:1>
  • -:データなし
腎・尿路
肝・胆汁
喀痰・気管支分泌液 ×~○
骨髄 ×~△
骨盤腔
臍帯血
×
腹腔
母乳 ×
扁桃腺
羊水
髄液
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
ショック
過敏症 ○~△
腎障害
肝障害
消化器障害
血液・造血器障害 ○~△
溶血性貧血 ×
精神・神経系障害
聴覚障害
Vit.B・K 欠乏症
偽膜性大腸炎 ×
電解質異常
Antabuse作用

12. 使用上の注意

禁忌

  • 本剤の成分並びに他のアミノグリコシド系抗生物質及びバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者

原則禁忌

  • 本人又はその血族がアミノグリコシド系抗生物質による難聴者又はその他の難聴者[難聴が発現又は増悪するおそれがある]

慎重投与

  • 腎障害のある患者[高い血中濃度が持続し,第8脳神経障害又は腎障害が現れるおそれがあるので,投与量を減ずるか,投与間隔をあけて使用する]
  • 肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある]
  • 重症筋無力症の患者[神経筋遮断作用がある]
  • 高齢者
  • 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者,高齢者,全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状が現れることがあるので観察を十分に行う]
  • 低出生体重児,新生児[腎臓,肝臓の機能が未発達のため副作用が現れやすい]

相互作用 併用注意

  • デキストラン等腎障害を起こすおそれのある血液代用剤[腎毒性を増強することがあるので,併用は避けることが望ましい]
  • ループ利尿剤(エタクリン酸,フロセミド等)[腎毒性及び聴器毒性が増強されるおそれがあるので,併用は避けることが望ましい]
  • バンコマイシン,エンビオマイシン,シスプラチン,カルボプラチン,ネダプラチン等腎毒性及び聴器毒性を持つ薬剤[腎毒性及び聴器毒性が発現、悪化するおそれがあるので,併用は避けることが望ましい]
  • 麻酔剤,筋弛緩剤[神経筋遮断作用による呼吸抑制が現れるおそれがある]
  • シクロスポリン,アムホテリシンB等腎毒性を持つ薬剤[腎毒性が発現,悪化するおそれがある]

臨床検査値への影響

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

備考欄の「※」にマウスポインタを合わせると注釈事項を表示します。

このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Bacillus anthracis 0.39
Citrobacter freundii 0.39
Corynebacterium diphtheriae 0.39
Enterobacter aerogenes 0.39~1.56
Escherichia coli 0.1~0.78 1.56 0.78
Klebsiella oxytoca 0.78 0.78
Klebsiella pneumoniae 0.2~0.39 0.78 0.78
Micrococcus luteus 0.78
Neisseria gonorrhoeae 1.56
Salmonella enterica subsp. enterica 0.39
Salmonella paratyphi A 0.1~0.2
Salmonella typhi 0.2
Salmonella typhimurium 0.39
Shigella dysenteriae 1.56
Staphylococcus aureus 0.025~0.39 0.1 0.1
Enterobacter cloacae 0.39 25 0.78
Morganella morganii 0.39 3.13 1.56
Neisseria meningitidis 3.12
Proteus mirabilis 1.56 3.13 1.56
Proteus vulgaris 0.39~0.78 3.13 0.78
Providencia rettgeri 0.39 6.25 0.78
Pseudomonas aeruginosa 1.56~6.25 3.13 1.56
Serratia marcescens 0.39~50 50 0.78
Staphylococcus epidermidis 0.2 12.5 0.05
Streptococcus pyogenes 1.56~6.25 6.25 3.13
Bacteroides fragilis × >100
Bacteroides vulgatus × >100
Burkholderia cepacia × 25
Clostridium perfringens × >100
Clostridium tetani × 50
Enterococcus faecalis × 25
Fusobacterium varium × >100
Pseudomonas putida × 100
Staphylococcus aureus (MRSA) × >100 0.39
Stenotrophomonas maltophilia × >100