製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2011-03-31

Terbinafine Hydrochloride []

テルビナフィン塩酸塩, アリルアミン系

1. 商品名

先発品

  • ラミシール錠125mg  【ノバルティス ファーマ】

後発品

  • ケルガー錠125mg 【前田薬品工業, 日医工】
  • テビーナ錠125mg 【岩城製薬】
  • テビナシール錠125mg 【東亜薬品, イセイ】
  • テルビー錠125mg 【ダイト, ポーラファルマ, 持田製薬】
  • テルビナール錠125mg 【日本薬品工業, 日本ケミファ】
  • テルビナフィン錠125「MEEK」 【小林化工, Meiji Seika ファルマ】
  • テルビナフィン錠125「TCK」 【辰巳化学, 科研製薬】
  • テルビナフィン錠125mg「CH」 【長生堂製薬, 田辺製薬販売】
  • テルビナフィン錠125mg「F」 【富士製薬工業, 富士フイルムファーマ】
  • テルビナフィン錠125mg「MED」 【メディサ新薬, 化研生薬】
  • テルビナフィン錠125mg「NP」 【ニプロファーマ】
  • テルビナフィン錠125mg「YD」 【陽進堂, 日本ジェネリック, 第一三共エスファ, 第一三共】
  • テルビナフィン錠125mg「サンド」 【サンド】
  • テルビナフィン錠125mg「タイヨー」 【大洋薬品工業】
  • テルビナフィン錠125mg「タナベ」 【田辺三菱製薬, 田辺製薬販売】
  • テルビナフィン錠125mg「マイラン」 【マイラン製薬】
  • テルフィナビン錠125mg 【日医工】
  • テルミシール錠125mg 【大正薬品工業, アルフレッサ ファーマ, 興和テバ】
  • ネドリール錠125mg 【高田製薬, マルホ】
  • ビラス錠125mg 【ジェイドルフ製薬, 東和薬品】
  • ラミテクト錠125mg 【沢井製薬, バイエル薬品】
  • リプノール錠125mg 【東菱薬品工業, 三笠製薬】

2. 日本における発売年

1997(平成9)年

3. 特長

  • 初めてのアリルアミン(非アゾール)系経口抗真菌剤である。幅広い抗真菌スペクトルを持ち、特に白癬菌に対して強力な殺真菌作用を示す。爪や皮膚への優れた移行性(ヒト)・貯留性(モルモット)に基づく薬効持続性が認められる。1日1錠の経口投与で爪真菌症(24 週観察時)、角質増殖型手・足白癬(8週観察時)にも高い治療効果を発揮する。

4. 承認済有効菌種

  • 皮膚糸状菌(トリコフィトン属
  • ミクロスポルム属
  • エピデルモフィトン属)
  • カンジダ属
  • スポロトリックス属
  • ホンセカエア属

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

6. 用法・用量

  • 通常、成人にはテルビナフィンとして125mgを1日1回食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 作用機序

  • テルビナフィン塩酸塩(以下テルビナフィン)は真菌細胞膜の必須成分であるエルゴステロールの生合成経路上において、スクアレンからスクアレンエポキシド転換過程に関与するスクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害し、スクアレンの細胞内蓄積ならびにエルゴステロール含量の低下をもたらす結果、細胞膜の障害を引き起こすことにより抗真菌作用を示す。

8. 血中半減期は長い

単回経口投与(空腹時) t1/2 β相 30.8±8.1 時間
単回経口投与(食後) t1/2 β相 39.9±7.1 時間
  • 連日投与(28~49週)の血中半減期は中央値で2.8週(1.5~28.9)

9. 排泄経路

  • 腎………80%
  • 腸管・その他………20%

10. 臓器移行性

  • ◎:≧25μg/ml
  • ○:25>~≧3
  • △:3>~≧1
  • x:1>
  • -:データなし
  • *:雌ラット
  • ※:外国人データ(500mg単回経口投与)
△ *
○ *
喀痰・気管支分泌液
骨髄 × *
骨盤腔
臍帯血
腹腔
母乳 × ※
扁桃腺
羊水
髄液
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
× *
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
ショック
過敏症
腎障害 ×
肝障害
消化器障害
血液・造血器障害
溶血性貧血 ×
精神・神経系障害
聴覚障害 ×
Vit.B・K 欠乏症 ×
偽膜性大腸炎 ×
電解質異常 ×
Antabuse作用 ×

12. 使用上の注意

警告

  • 重篤な肝障害(肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸等)及び汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。本剤を使用する場合には、投与前に肝機能検査及び血液検査を行い、本剤の投与中は随伴症状に注意し、定期的に肝機能検査及び血液検査を行うなど観察を十分に行うこと。本剤の投与開始にあたっては、添付文書を熟読すること。

禁忌

  • 1.重篤な肝障害のある患者〔肝障害が増悪するおそれがある。〕
  • 2.汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少等の血液障害のある患者〔血液障害が増悪するおそれがある。〕
  • 3.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

原則禁忌

慎重投与

  • 1.肝障害のある患者〔慢性もしくは活動性等の肝疾患を有する患者は肝障害が増悪するおそれがあるので、本剤の投与中は頻回に肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと。〕
  • 2.腎障害のある患者〔高い血中濃度が持続するおそれがある。〕
  • 3.高齢者

相互作用 併用注意

  • 1.シメチジン(本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること。 )
  • 2.リファンピシン(本剤の血中濃度が低下するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること。 )
  • 3.(1)三環系抗うつ剤(イミプラミン、ノルトリプチリン、アミトリプチリン)、(2)マプロチリンン、(3)デキストロメトルファン(これらの薬剤又はその活性代謝物の血中濃度が上昇するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること。 )
  • 4.黄体・卵胞ホルモン混合製剤(経口避妊薬等)(月経異常があらわれたとの報告があるので注意すること。 )
  • 5.シクロスポリン(シクロスポリンの血中濃度が低下したとの報告があるので、併用する場合にはシクロスポリンの血中濃度を参考にシクロスポリンの投与量を調節すること。特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意すること。 )

臨床検査値への影響

  • 該当資料なし

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Aspergillus flavus 0.01 ~0.5
Aspergillus niger 0.005 ~0.5
Blastomyces dermatitidis ≦0.05~0.39
Candida albicans 0.098~ 0.78
Epidermophyton floccosum 0.001~<0.06
Histoplasma capsulatum ≦0.05~0.2
Microsporum canis 0.005 ~0.01
Microsporum gypseum 0.005 ~0.01
Microsporum persicolor 0.002 ~0.003
Trichophyton mentagrophytes 0.001 ~0.01 * 0.016
Trichophyton rubrum 0.001 ~0.01 * 0.0078
Trichophyton verrucosum 0.0015~0.006
Aspergillus fumigatus 0.02 ~5.0
Aspergillus terreus 0.05 ~5.0
Candida parapsilosis 0.1 ~ 3.13
Cryptococcus neoformans 0.25 ~ 2.0
Malassezia furfur 0.2 ~ 0.8
Sporothrix schenckii ≦0.05~2.0
Candida albicans 2~8 * 4
    6.25~>128.0
Candida guilliermondii 6.25 ~100.0