最終データ更新日：2010-07-31

Cefbuperazone [CBPZ]

セフブペラゾン, セフェム系(Cephamycin型 ureid型 MTT基)

1. 商品名

2. 日本における発売年

1985（昭和60）年

3. 特長

• グラム陽性、陰性菌から嫌気性菌まで幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌力を有する。
• β-ラクタマーゼに対して安定で、β-ラクタマーゼ耐性菌に対しても強い抗菌力を有する。
• 白血球との協力的殺菌作用を示す（in vitro）。
• 優れた体内動態を示す。
• 検討症例23,945例中、副作用発現例は844例（3.52％）に認められたが、その大部分は抗生剤一般にみられる発疹、下痢、AST(GOT)・ALT(GPT) の上昇などであった。(1991年4月集計)

4. 承認済有効菌種

• セフブペラゾンに感性の肺炎球菌
• 大腸菌
• シトロバクター属
• クレブシエラ属
• エンテロバクター属
• セラチア属
• プロテウス属
• モルガネラ・モルガニー
• プロビデンシア・レットゲリ
• インフルエンザ菌
• バクテロイデス属
• プレボテラ属

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

6. 用法・用量

• セフブペラゾンナトリウムとして、通常成人には１日１～２ｇ(力価)を、２回に分割して静脈内注射又は点滴静注する。
• 小児には通常１日40～80mg(力価)／kgを２～４回に分割して静脈内注射又は点滴静注する。
• なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、難治性又は重症感染症には成人では１日４ｇ(力価)、小児では１日120mg(力価)／kgまで増量することができる。
• 静脈内注射の際には、日局注射用水、日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液に溶解し緩徐に注射する。
• また、補液に加えて点滴静注することもできる。
• 点滴静注にあたっては、注射用水は使用しないこと(溶液が等張にならないため)。

7. 作用機序

• 細菌の細胞壁ペプチドグリカンの生合成を阻害し，殺菌的に作用する．
• (ペニシリン結合蛋白1A，1B，3に親和性)
• 〔β-ラクタマーゼに安定〕

8. 血中半減期は中程度

１時間点滴	β1/2	91分
静注	β1/2	99分

9. 排泄経路

• 腎………約80％

10. 臓器移行性

11. 副作用

12. 使用上の注意

禁忌

• 本剤の成分によるショックの既往歴のある患者

原則禁忌

• 本剤の成分又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者

慎重投与

• ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者〔ショックがあらわれるおそれがあるので、十分な問診を行うこと〕
• 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者〔アレルギー素因を有する患者は過敏症を起こしやすいので、十分な問診を行うこと〕
• 高度の腎障害のある患者〔高い血中濃度が持続することがある
• 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者〔食事摂取によりビタミンＫを補給できない患者では、ビタミンＫ欠乏症状があらわれることがあるので観察を十分に行うこと〕
• 高齢者

相互作用　併用注意

• フロセミド等の利尿剤［腎毒性が増強されるおそれがあるので、併用する場合には腎機能に注意すること。］
• アルコール［飲酒によりジスルフィラム様作用(潮紅、悪心、頻脈、多汗、頭痛等)があらわれるとの報告がある。投与期間中及び投与後少なくとも一週間は飲酒を避けさせること。］

臨床検査値への影響

• 本剤の投与により、クリニテスト、ベネディクト試薬等の還元法による尿糖検査では、偽陽性を呈することがあるので注意すること。
• 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

備考欄の「※」にマウスポインタを合わせると注釈事項を表示します。

菌名	感受性	標準菌株	標準菌のMIC	臨床分離菌		備考
				MIC80 *MIC90	MIC60 **MIC50
Clostridium perfringens	◎		0.05
Escherichia coli	◎		0.05	0.39	** 0.2
Haemophilus influenzae	◎			1.56	** 0.78
Klebsiella spp.	◎			0.2	** 0.05
Neisseria meningitidis	◎		0.05
Peptococcus niger	◎		≦0.025
Peptostreptococcus tetradius	◎		≦0.025
Proteus mirabilis	◎		0.1	1.56	** 0.78
Proteus vulgaris	◎		0.05	1.56	** 0.78
Salmonella enterica subsp. enterica	◎		0.05
Salmonella paratyphi A	◎		0.025
Salmonella typhi	◎		0.05
Shigella spp.	◎		0.05～0.10
Streptococcus pneumoniae	◎		1.56	1.56	** 0.78
Bacillus subtilis	○		0.78
Bacteroides fragilis	○		1.56～3.13
Bacteroides spp.	○			6.25	** 3.13
Bacteroides vulgatus	○		0.78
Citrobacter freundii	○		0.2
Citrobacter spp.	○			12.5	** 0.78
Enterobacter aerogenes	○		0.05～0.78
Enterobacter cloacae	○		0.78
Enterobacter spp.	○			12.5	** 0.78
Eubacterium limosum	○		0.78
Fibrobacter succinogenes	○		1.56
Fusobacterium nucleatum	○		0.2
Hafnia alvei	○		0.2
Klebsiella pneumoniae	○		0.05
Micrococcus luteus	○		0.78
Morganella morganii	○		1.56	6.25	** 1.56
Porphyromonas asaccharolytica	○		≦0.025～0.78
Prevotella disiens	○		1.56
Prevotella melaninogenica	○		≦0.025～0.78
Propionibacterium acnes	○		0.39
Proteus inconstans	○		0.39
Providencia rettgeri	○		0.025	12.5	** 1.56
Serratia marcescens	○		0.1
Serratia spp.	○			12.5	** 0.78
Streptococcus pyogenes	○		1.56
Veillonella parvula	○		≦0.025～0.78
Corynebacterium diphtheriae	△		6.25
Fusobacterium mortiferum	△		6.25～25
Peptoniphilus asaccharolyticus	△		12.5
Peptostreptococcus spp.	△		≦0.025～12.5
Staphylococcus aureus	△		3.13～12.5
Staphylococcus epidermidis	△		12.5
Streptococcus intermedius	△		12.5
Aerococcus viridans	×		＞100
Bacillus anthracis	×		100
Bacteroides thetaiotaomicron	×		25
Clostridium difficile	×		100
Clostridium ramosum	×		25
Eggerthella lenta	×		50
Enterococcus faecalis	×		＞100
Fusobacterium varium	×		25
Pseudomonas aeruginosa	×		50～＞100
Streptococcus constellatus	×		25