製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2011-03-31

Rifabutin [RBT]

リファブチン, 抗酸菌症治療薬

1. 商品名

先発品

  • ミコブティンカプセル150mg 【ファイザー】

2. 日本における発売年

2008(平成20)年

3. 特長

  • HIV 非感染者の非結核性抗酸菌症に適応を取得した国内初の抗菌薬である。(2008 年7 月)
  • リファンピシン耐性結核菌の約30%に効果が期待できる。
  • HIV 感染患者の播種性MAC 症に対し、発症抑制及び治療効果が得られる。
  • 抗HIV 薬との併用が可能※なリファマイシン系抗菌薬である。(2008 年7 月現在)※併用注意薬剤を含む

4. 承認済有効菌種

  • 本剤に感性のマイコバクテリウム属

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

6. 用法・用量

  • 1.結核症 通常、成人にはリファブチンとして150mg~300mgを1日1回経口投与する。多剤耐性結核症にはリファブチンとして300mg~450mgを1日1回経口投与する。
  • 2.マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症の治療 通常、成人にはリファブチンとして300mgを1日1回経口投与する。
  • 3.HIV感染患者における播種性MAC症の発症抑制 通常、成人にはリファブチンとして300mgを1日1回経口投与する。

7. 作用機序

  • In vitro 試験において、リファブチンはEscherichia coli のウリジン取り込みを抑制し、E. coli及びBacillus subtilis から抽出したDNA 依存性RNA ポリメラーゼの活性を阻害した。このことから、リファブチンはリファンピシンと同様にRNA ポリメラーゼに作用し、RNA 合成を阻害することで抗菌活性を発揮すると考えられる。さらに、リファブチンは5μg/mL で、リファンピシン耐性Mycobacterium tuberculosis のDNA へのチミジンの取り込みを阻害した。細胞内移行性及びCmax を考慮すると、リファブチンは、標準的な臨床用量において、細胞内増殖リファンピシン耐性Mycobacterium tuberculosis に対しては、そのDNA 依存性RNA ポリメラーゼの阻害に加えて、DNA 合成も阻害する可能性があることが示唆された。

8. 血中半減期は長い

経口(300、450、600mg) t1/2 17~20時間

9. 排泄経路

  • 腎………52.9%
  • 腸管・その他………29.4%

10. 臓器移行性

  • ◎:≧25μg/ml
  • ○:25>~≧3
  • △:3>~≧1
  • x:1>
  • -:データなし
  • ※リファブチンの組織内への移行について検討した結果、抗菌活性は、肺、胆嚢、腸、筋肉に認められた。
○(ラット)
○(ラット)
喀痰・気管支分泌液
骨髄
骨盤腔
臍帯血
腹腔
母乳
扁桃腺
羊水
髄液
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
  • ※2%未満のデータあり
ショック
過敏症 ○ ※
腎障害
肝障害
消化器障害
血液・造血器障害
溶血性貧血
精神・神経系障害 ○ ※
聴覚障害 ○ ※
Vit.B・K 欠乏症
偽膜性大腸炎
電解質異常
Antabuse作用

12. 使用上の注意

禁忌

  • 1.本剤の成分又は他のリファマイシン系薬剤(リファンピシン)に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.次の薬剤を投与中の患者:ボリコナゾール

原則禁忌

慎重投与

  • 1.重度の肝機能障害のある患者[肝機能を悪化させるおそれがあるので、本剤の用量の減量を考慮すること。]
  • 2.重度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが30mL/分未満)

相互作用 併用禁忌

  • 1ボリコナゾール(ブイフェンド) (本剤の作用が増強するおそれがある。また、ボリコナゾールの作用が減弱するおそれがある。

相互作用 併用注意

  • 1.プロテアーゼ阻害薬+リトナビル 、アタザナビル・リトナビル 、インジナビル・リトナビル 、サキナビル・リトナビル 、ダルナビル・リトナビル 、Tipranavir・リトナビル 、ホスアンプレナビル・リトナビル 、ロピナビル・リトナビル(本剤の作用が増強するおそれがあり、本剤の投与量を少なくとも1/4に減量することを考慮する。 )
  • 2.プロテアーゼ阻害薬  リトナビル(本剤の作用が増強するおそれがある。リトナビルを、1回600mg1日2回の用法・用量で使用する場合には、本剤との併用を避けること。他の抗レトロウィルス薬とリトナビルと本剤を併用する場合には、国内外のガイドラインを参考にして、リトナビル及び本剤の用量調節を行うこと。
  • 3.プロテアーゼ阻害薬  アタザナビル(本剤の作用が増強するおそれがあり、本剤の投与量を1/4に減量することを考慮する。 )
  • 4.プロテアーゼ阻害薬  インジナビル、ネルフィナビル、ホスアンプレナビル(本剤の作用が増強するおそれがあり、本剤の投与量を少なくとも半減することを考慮する。また、これらの薬剤の作用が減弱するおそれがある。 )
  • 5.エトラビリン(本剤及びエトラビリンの作用が減弱するおそれがある。 )
  • 6.デラビルジン(本剤の作用が増強するおそれがあり、また、これらの薬剤の作用が著しく減弱するおそれがあることから、他の薬剤への変更を考慮する。 )
  • 7.ネビラピン(本剤の作用が増強するおそれがある。また、これらの薬剤の作用が減弱するおそれがある。 )
  • 8.エファビレンツ(本剤の作用が減弱するおそれがある。)
  • 9.マラビロク (マラビロクの作用が減弱するおそれがある。 )
  • 10.アゾール系抗真菌薬  イトラコナゾール、フルコナゾール、Posaconazole等(本剤の作用が増強するおそれがあり、本剤の投与量を少なくとも半減することを考慮する。また、これらの薬剤(フルコナゾールを除く)の作用が減弱するおそれがある。 )
  • 11.マクロライド系抗生剤  エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン等(本剤の作用が増強するおそれがあり、本剤の投与量を半減することを考慮する。 また、これらの薬剤の作用が減弱するおそれがある。 )
  • 12.経口避妊薬(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール) (経口避妊薬の作用が減弱し、不正性器出血の発現率が増大するおそれがある。 )
  • 13.ジアフェニルスルホン(ジアフェニルスルホンの作用が減弱するおそれがある。 )
  • 14.タクロリムス(タクロリムスの血中濃度が低下し、拒絶反応が出現する可能性がある。タクロリムスの血中濃度のモニターを行い、必要に応じ増量等の処置を行う。 )

臨床検査値への影響

  • 該当資料なし

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Mycobacterium kansasii * 0.1 ** 0.025
Mycobacterium marinum * 0.1 ** 0.1
Mycobacterium tuberculosis (Rifampicin-susceptible) * 0.05 ** 0.025
Staphylococcus aureus 209P 0.005
    Smith 0.03
    PV1 0.06
Enterococcus faecalis ATCC 8043 0.5
Escherichia coli B 2.5
Klebsiella pneumoniae ATCC 10031 2.5
Mycobacterium avium * 1.56 ** 0.39
Mycobacterium scrofulaceum * 1.56 ** 0.2
Proteus vulgaris 1.25
Salmonella typhimurium F7 2.5
Escherichia coli Ginetta 5
Mycobacterium abscessus * 25 ** 12.5
Mycobacterium chelonae * 50 ** 12.5
Mycobacterium foriutum * 6.25 ** 3.13
Proteus mirabilis 525 5
Pseudomonas aeruginosa 2598 >20
    RHO9 5