製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2010-07-31

Pipemidic Acid [PPA]

ピペミド酸, 合成抗菌剤(オールドキノロン系)

1. 商品名

先発品

  • ドルコール錠250mg 【大日本住友製薬】

後発品

  • カルノマチン錠250mg 【イセイ】
  • ペピミドール錠250mg 【陽進堂】

2. 日本における発売年

1979(昭和54)年

3. 特長

  • 緑膿菌,大腸菌,赤痢菌,腸炎ビブリオ等グラム陰性桿菌に抗菌力を示す.
  • 経口投与でよく吸収され,組織移行性が良好である.
  • 長時間にわたって高い尿中濃度が維持される.

4. 承認済有効菌種

  • ピペミド酸に感性の大腸菌
  • 赤痢菌
  • シトロバクター属
  • クレブシエラ属
  • エンテロバクター属
  • プロテウス属
  • 腸炎ビブリオ
  • 緑膿菌

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

6. 用法・用量

  • ピペミド酸として通常成人に1日,腎盂腎炎,膀胱炎,前立腺炎(急性症,慢性症)には500~2,000 mg,感染性腸炎,中耳炎,副鼻腔炎には1,500~2,000 mg,3~4回に分服(増減)

7. 作用機序

  • 細菌のDNAジャイレース(トポイソメラーゼ I )の活性を阻害し,DNA合成を阻害する.

8. 血中半減期は比較的長い

経口 β1/2 120~150分
(t max:投与後60分)

9. 排泄経路

  • 腎………約72%
  • 腸管………約25%

10. 臓器移行性

  • ◎:≧10μg/ml
  • ○:10>~≧1
  • △:1>~≧0.5
  • x:0.5>
  • -:データなし
腎・尿路
肝・胆汁
喀痰・気管支分泌液 △~○
骨髄
骨盤腔
臍帯血 ×~○
腹腔
母乳
扁桃腺
羊水 ×~○
髄液
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
  • ※:S-J症候群・Lyell症候群(△) 痙攣(腎不全時?)
ショック
過敏症 △~○
腎障害
肝障害 ○~△
消化器障害 ○~△
血液・造血器障害
溶血性貧血 ×
精神・神経系障害
聴覚障害 ×
Vit.B・K 欠乏症 ×
偽膜性大腸炎 ×
電解質異常 ×
Antabuse作用
その他※

12. 使用上の注意

禁忌

  • 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
  • 小児

原則禁忌

慎重投与

  • 高度の腎障害のある患者[高い血中濃度が持続するので,投与量を減量又は投与間隔をあけて投与する]
  • 高齢者

相互作用 併用注意

  • テオフィリン,アミノフィリン,コリンテオフィリン[テオフィリンの作用を増強するので,これらの薬剤を減量するなど慎重に投与する]

臨床検査値への影響

  • 尿タンパクが測定法により,見かけ上高値を示すことがあるので,煮沸法又は試験紙法により測定する

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Enterobacter cloacae 1.56
Haemophilus influenzae 1.56
Neisseria gonorrhoeae 1.56
Neisseria meningitidis 1.56
Yersinia enterocolitica 1.56
Acinetobacter spp. 1.56~25
Clostridium perfringens 12.5
Clostridium tetani 12.5
Escherichia coli 1.56~6.25
Klebsiella pneumoniae 3.13
Morganella morganii 3.13
Proteus mirabilis 6.25
Proteus vulgaris 6.25
Salmonella enterica subsp. enterica 6.25
Salmonella paratyphi A 1.56~3.13
Salmonella typhi 1.56~3.13
Salmonella typhimurium 3.13
Serratia marcescens 12.5
Shigella dysenteriae 3.13
Vibrio parahaemolyticus 3.13
Bacteroides fragilis × 100
Bacteroides vulgatus × 100
Corynebacterium diphtheriae × 100
Fusobacterium varium × 100
Micrococcus luteus × 100
Peptostreptococcus spp. × 100
Pseudomonas aeruginosa × 12.5~50
Staphylococcus aureus × 50~100
Staphylococcus epidermidis × 100
Streptococcus pneumoniae × 100
Streptococcus pyogenes × 100