本サイトの提供情報は、「治療の参考」として提供するものであり、 実際の使用に当たっては、「添付文書」等の各製薬会社が提供する情報に従ってご使用ください。
最終データ更新日:2007-03-31
Ganciclovir [DHPG]
ガンシクロビル, 抗ウイルス剤
1. 商品名
先発品
- デノシン点滴静注用500mg 【田辺三菱製薬】
2. 日本における発売年
1990(平成2)年
3. 特長
- サイトメガロウイルス感染症に,臨床的に有効な抗ウイルス剤.
- サイトメガロウイルス感染細胞に,より選択的に作用する.
- 強い抗サイトメガロウイルス活性を示す.
4. 承認済有効菌種
- サイトメガロウイルス
5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種
- 単純ヘルペスウイルスⅠ型(HSV-1), Ⅱ型(HSV-2)
- 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)
- EBウイルス(EBV)
- HHV-6,-7,-8
- B型肝炎ウイルス(HBV)
6. 用法・用量
- 初期投与は,1回5 mg/kgを1日2回,12時間ごとに1時間以上かけて,14日間点滴静注
- 維持投与は,後天性免疫不全症候群の患者又は免疫抑制剤投与中の患者で,再発の可能性が高い場合は必要に応じ維持投与に移行することとし,1日6 mg/kgを週に5日又は1日5 mg/kgを週に7日,1時間以上かけて点滴静注
- 維持投与中又は投与終了後,サイトメガロウイルス感染症の再発が認められる患者には必要に応じて再投与として初期投与の用法・用量で投与することができる
- なお,腎機能障害のある患者には,腎機能障害の程度に応じて適宜減量.注射液の調製法は添付文書参照
7. 作用機序
- ウイルス感染細胞内でいわゆるガンシクロビルキナーゼによりリン酸化され,活性型のガンシクロビル三リン酸になる.このものはウイルスDNAポリメラーゼの基質であるデオキシグアノシン三リン酸と拮抗することによってウイルスDNAポリメラーゼを阻害し,ウイルスの複製を阻害する.
8. 血中半減期は長い
1時間点滴 | β1/2 | 216分 |
9. 排泄経路
- 腎………約100%
10. 臓器移行性
- ◎:≧25μg/ml
- ○:25>~≧3
- △:3>~≧1
- x:1>
- -:データなし
腎・尿路 | ◎ |
---|---|
肝・胆汁 | ○ |
喀痰・気管支分泌液 | ― |
骨髄 | ― |
骨盤腔 | ― |
臍帯血 | ― |
骨 | ― |
腹腔 | ― |
母乳 | ― |
扁桃腺 | ― |
羊水 | ― |
髄液 | × |
腸管 | ― |
副鼻腔 | ― |
筋・皮下組織 | ― |
胸腔 | ― |
眼 | △~○ |
歯槽 | ― |
11. 副作用
- ◎:5%以上
- ○:0.1%以上5%未満
- △:0.1%未満
- ×:これまでに報告はない
- ?:頻度不明
- !:同系薬剤で報告がある
- !!:大量投与時に起こる
- ※:発熱(◎) 敗血症,不整脈,高血圧,低血圧,低血糖,呼吸困難,脱毛(○)
ショック | ! |
---|---|
過敏症 | ○ |
腎障害 | ○ |
肝障害 | ○ |
消化器障害 | ○ |
血液・造血器障害 | ○ |
溶血性貧血 | × |
精神・神経系障害 | ○ |
聴覚障害 | × |
Vit.B・K 欠乏症 | × |
偽膜性大腸炎 | × |
電解質異常 | ? |
Antabuse作用 | 無 |
その他※ |
12. 使用上の注意
禁忌
- 好中球数500/mm3未満の患者[投与により重篤な好中球減少が認められている]
- 本剤又は類似化合物(アシクロビル)に対する過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[動物実験において催奇形性が認められている]
原則禁忌
慎重投与
- 薬剤等による白血球減少等の既往歴のある患者[投与により重篤な好中球減少が認められている]
- 免疫抑制剤投与中の患者又は血小板減少(100,000/mm3未満)のある患者[投与により重篤な血小板減少が認められている]
- 腎障害のある患者[ガンシクロビルの血中半減期の延長とクリアランスの低下の報告がある]
- 肝障害のある患者
- 精神病,思考異常の既往歴のある患者又は既往に薬剤による精神病反応又は神経毒性を呈したことのある患者
- 高齢者
- ジダノシン投与中の患者
- 小児等
相互作用 併用注意
- 抗悪性腫瘍剤,アムホテリシンB,スルファメトキサゾール・トリメトプリム,イミペネム・シラスタチン,他のヌクレオシド誘導体(ジドブジン)[副作用が増強するおそれがある]
- プロベネシド及び腎尿細管の分泌又は再吸収を抑制する薬剤[本剤の腎クリアランスを低下させ,血中半減期を延長させる可能性がある]
- ジダノシン[副作用を増強するおそれがある]
- ジドブジン・骨髄抑制のある薬剤(硫酸ビンクリスチン等)[骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある]
- イミペネム・シラスタチンナトリウム[痙攣・発作を起こすおそれがある]
- シクロスポリン[血清クレアチニン濃度が上昇することがある]
- プロベネシド[血中半減期が延長し、本剤の副作用が増強する]
- ミコフェノール酸モフェチル[本剤及びミコフェノール酸モフェチル代謝物の血中濃度が上昇し副作用があらわれるおそれがある]
臨床検査値への影響
13. 抗ウイルス作用
ウイルス種 | ID50* | |
---|---|---|
標準株 | 臨床分離株 | |
Cytomegalovirus | 1.0~7μM | 0.9~5.9μM |
Varicella-zoster virus | 2.9~7.8μM | |
Epstein-Barr virus | 1~4μM | |
Herpes simplex virus 1 | 0.2~11.8μM | |
Herpes simplex virus 2 | 0.3~11.8μM |
*ID50:50% inhibitory dose(抗ウイルス剤を全く加えない場合のウイルス量に比し,ウイルス量を50%抑制させる抗ウイルス剤の濃度,ED50と同じ)