製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2007-03-31

Sulfadoxine / Pyrimethamine [SP]

スルファドキシン/ピリメタミン, 抗マラリア薬

1. 商品名

先発品

  • ファンシダール錠 【中外製薬】

2. 日本における発売年

1987(昭和62)年

3. 特長

  • マラリア原虫の葉酸代謝経路を2重ブロックして,相乗的に作用する.
  • 他剤耐性マラリア原虫,特にクロロキン耐性熱帯熱マラリア原虫に有効.
  • 少量かつ短期間の治療で有効.

4. 承認済有効菌種

  • マラリア

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

6. 用法・用量

  • 初日1回2錠,翌日1回1錠

7. 作用機序

  • スルファドキシンはマラリア原虫の葉酸生合成を阻害し,ピリメタミンは葉酸還元酵素の酵素活性を低下させ,その活性化を阻害して抗マラリア作用を示す. 両剤の併用によりマラリア原虫の葉酸代謝の連続した2箇所を同時に阻害するため相乗的な作用を発揮する.

8. 血中半減期は長い

スルファドキシン β1/2 6420分
ピリメタミン β1/2 10920分

9. 排泄経路

  • 腎………約46%

10. 臓器移行性

  • ◎:≧10μg/ml
  • ○:10>~≧1
  • △:1>~≧0.5
  • x:0.5>
  • -:データなし
  • (スルファドキシン)
腎・尿路
肝・胆汁
喀痰・気管支分泌液
骨髄
骨盤腔
臍帯血
腹腔
母乳
扁桃腺
羊水
髄液
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
  • ※:S-J症候群・Lyell症候群,PIE症候群(?)
  • *:G-6-PD欠乏患者
ショック
過敏症
腎障害
肝障害
消化器障害
血液・造血器障害
溶血性貧血 ?*
精神・神経系障害
聴覚障害
Vit.B・K 欠乏症 ×
偽膜性大腸炎 ×
電解質異常
Antabuse作用
その他※

12. 使用上の注意

禁忌

  • 既往に本剤,サルファ剤又はピリメタミンに対する過敏症を起こした患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
  • 授乳婦
  • 未熟児,新生児
  • 葉酸欠乏に基づく巨赤芽球性貧血の患者[巨赤芽球性貧血が悪化するおそれがある]

原則禁忌

  • 血液障害のある患者又は既往に血液障害を起こした患者[血液障害が現れることがある]
  • 本人又は両親,兄弟が気管支喘息,発疹,じんま疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質である患者又は既往に他の薬剤に対する過敏症を起こした患者

慎重投与

  • 肝障害のある患者
  • 腎障害のある患者[腎排泄の障害により,血中濃度が長時間,高濃度に持続するおそれがある]
  • 高齢者
  • 葉酸欠乏又は代謝異常のある患者(既往に胃の摘出術を受けている患者,他の葉酸代謝拮抗剤を投与されている患者,分娩後,先天性葉酸代謝異常症等)[巨赤芽球性貧血が起こるおそれがある]
  • グルコース‐6‐リン酸脱水素酵素(G‐6‐PD)欠乏患者[溶血が起こるおそれがある]
  • 乳児・幼児・小児

相互作用 併用注意

  • スルホニルアミド系及びスルホニルウレア系経口糖尿病剤[血糖降下作用を増強することがある]
  • クマリン系抗凝血剤[本剤は血漿タンパクと結合したクマリン系抗凝血剤と置換し,遊離のクマリン系抗凝血剤が増加するため,これらの作用を増強することがある]
  • サルファ剤又はトリメトプリム・スルファメトキサゾール配合剤[葉酸欠乏の危険性が高くなり,血液障害を起こすおそれがある]

臨床検査値への影響