製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2007-03-31

linezolid [LZD]

リネゾリド, オキサゾリジノン系

1. 商品名

先発品

  • ザイボックス錠600mg 【ファイザー】
  • ザイボックス注射液600mg 【ファイザー】

2. 日本における発売年

2001(平成13)年

3. 特長

  • ザイボックスが属する「オキサゾリジノン系合成抗菌剤」は、約20年ぶり(欧米では35年ぶり) に開発された新しい系統の抗菌薬である。
  • MRSA感染症患者を対象とした国内第Ⅲ相試験有効率は62.9%(39/62例)であった。
  • VRE感染症患者を対象とした臨床試験における有効率は67.2%(39/58例)であった。
  • 腎機能の低下に関わらず、全身クリアランス等、薬物動態に変化は認められなかった。
  • 高齢者や中等度までの肝機能障害患者においても健康成人と比較しても変化は認められずザイボックス投与において用法・用量の調節は必要ないものと考えられた(海外データ)

4. 承認済有効菌種

  • 本剤に感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

海外適応菌種

  • S.Pneumonine
  • E..fecalis
  • E..fecium
  • MSSA
  • S.epidermidis
  • C.jeikeium
  • L..monocytogenes

6. 用法・用量

  • ザイボックス注射液600mg 通常、成人にはリネゾリドとして1日1200mgを2回に分け、1回600mgを12時間ごとに、それぞれ30分~2時間かけて点滴静注する
  • ザイボックス錠600mg 通常、成人にはリネゾリドとして1日1200mgを2回に分け、1回600mgを12時間ごとに経口投与する。

7. 作用機序

  • 細菌の蛋白合成は翻訳の開始反応(initiation)、ペプチド鎖の伸張反応(elongation)の3つの 過程に分類される。
  • リネゾリドは翻訳開始反応におけるリボゾーム50Sサブユニットに結合し、70S開始複合体の形成を阻害するという、蛋白合成過程の極めて初期段階を抑制することで抗菌力を発揮するすると考えられ、従来の蛋白合成阻害薬とは異なった作用器所を有している。

8. 血中半減期は長い

点滴 T1/2 5.03±0.77

9. 排泄経路

  • 腎………約80%
  • 肝臓………約10%
  • 呼気………約10%

10. 臓器移行性

  • ◎:≧25μg/ml
  • ○:25>~≧3
  • △:3>~≧1
  • x:1>
  • -:データなし
腎・尿路
肝・胆汁
喀痰・気管支分泌液
骨髄
骨盤腔
臍帯血
○8.6
腹腔
母乳 ○8.42(ラット)
扁桃腺
羊水
髄液 ○7
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織 ◎64.3
胸腔
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる

12. 使用上の注意

使用上の注意

  • 感染症の治療に充分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで行うこと。
  • 原則として他の抗菌薬及び本剤に対する感受性(耐性)を確認すること。
  • 投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か判定し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

禁忌

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

慎重投与

  • 投与前に貧血、白血球減少症、汎血球減少症、血小板減少症等の骨髄抑制が確認されている患者、骨髄抑制作用を有する薬剤との併用が必要な患者、感染症のため長期にわたり他の抗菌薬を本剤の投与前に投与されていた、あるいは本剤と併用して投薬される患者、14日を超えて本剤を投与される可能性のある患者
  • 高度な陣障害のある患者
  • 体重40kg未満の患者「臨床試験において使用経験が限られている」
  • 授乳婦

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Enterococcus faecium(VRE) 2 2
Enterococcus spp. 1
Micrococcus spp. 1
Staphylococcus aureus 1
Staphylococcus aureus (MRSA) 0.5 1
Staphylococcus epidermidis 1
Streptococcus spp. 1
Citrobacter spp. × 128
Escherichia coli × 128