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最終データ更新日:2012-02-08
Itraconazole [ITCZ]
イトラコナゾール, 抗真菌剤
1. 商品名
先発品
- イトリゾールカプセル50 【ヤンセン ファーマ】
後発品
- イトリゾール内用液1% 【ヤンセン ファーマ】
- イトリゾール注1%[200mg] 【ヤンセン ファーマ】
- イトラートカプセル50 【沢井製薬, 日本ケミファ】
- イトラコネート錠50mg/イトラコネート錠100mg 【高田製薬】
- イトラコンカプセル50 【日医工】
- イトラリール錠50/イトラリール錠100 【全星薬品工業, 全星薬品】
- トラコナ錠50mg/トラコナ錠100mg 【日医工, 日医工ファーマ】
- イトラコナゾール錠50「MEEK」/イトラコナゾール錠100「MEEK」/イトラコナゾール錠200「MEEK」 【小林化工, Meiji Seika ファルマ】
- イトラコナゾール錠50mg「科研」 【科研製薬】
2. 日本における発売年
1993(平成5)年
3. 特長
- 幅広い抗真菌スペクトラムを有し,アスペルギルス属,カンジダ属,クリプトコックス属,ブラストミセス属,ヒストプラスマ属に対して優れた抗真菌活性を示す.
- 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症の適応を有する(注射剤).
4. 承認済有効菌種
[カプセル]
- 皮膚糸状菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)
- カンジダ属
- マラセチア属
- アスペルギルス属
- クリプトコックス属
- スポロトリックス属
- ホンセカエア属
[内用液]
- カンジダ属及びクリプトコッカス属による次の感染症:真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎
[注]
- アスペルギルス属
- カンジダ属
- クリプトコックス属
- ブラストミセス属
- ヒストプラスマ属
5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種
6. 用法・用量
カプセル:
- 内臓真菌症:100~200mg1日1回食直後(増減).注射剤から切り替えの場合200mg1日2回食直後.
- 深在性又は表在性皮膚真菌症(爪白癬以外):50~200mg1日1回食直後.最高用量200mg/日.
- 爪白癬:200mg1日2回1週間食直後.その後3週間休薬.これを1サイクルとし3サイクル繰りかえす.
内用液:
- 200mg(20mL)1日1回空腹時
注射:
- 200mg1日2回(1日~2日目),200mg1日1回(3日目以降)
7. 作用機序
- チトクロームP-450と結合することにより,細胞膜の成分であるエルゴステロール合成を阻害する.
8. 血中半減期は長い
カプセル | t1/2 | 約14~28時間 | t max:投与後約4~5時間 |
内用液 | t1/2 | 約24~26時間 | t max:投与後約2時間 |
注射 | t1/2 | 約12~22時間 | t max:投与後約1時間 |
9. 排泄経路
- 腎………約35%(カプセル), 1%未満(内用液,注射)
- 糞………約54%(カプセル)
10. 臓器移行性
- ◎:≧10μg/ml
- ○:10>~≧1
- △:1>~≧0.5
- x:0.5>
- -:データなし
腎・尿路 | ○ |
---|---|
肝・胆汁 | ◎ |
肺 | ○ |
喀痰・気管支分泌液 | ○ |
骨髄 | △ |
骨盤腔 | ― |
臍帯血 | ― |
骨 | × |
腹腔 | ○ |
母乳 | ○ |
扁桃腺 | ― |
羊水 | × |
髄液 | × |
腸管 | ○ |
副鼻腔 | ― |
筋・皮下組織 | ×~○ |
胸腔 | ×~○ |
眼 | × |
歯槽 | ― |
11. 副作用
- ◎:5%以上
- ○:0.1%以上5%未満
- △:0.1%未満
- ×:これまでに報告はない
- ?:頻度不明
- !:同系薬剤で報告がある
- !!:大量投与時に起こる
- ◎:常に発生する可能性があるので,厳重に注意する
- ○:発生する可能性があるので常に注意する
- △:稀に発生する可能性があるので一応注意する
- ×:これまでに報告はない
- ?:不明
過敏症 | △~× |
---|---|
腎障害 | △ |
肝障害 | ◎~○ |
消化器障害 | ○ |
血液・造血器障害 | △ |
溶血性貧血 | × |
精神・神経系障害 | △ |
聴覚障害 | × |
Vit.B・K 欠乏症 | × |
偽膜性大腸炎 | × |
電解質異常 | △ |
Antabuse作用 | 無 |
12. 使用上の注意
禁忌
- ピモジド、キニジン、ベプリジル、トリアゾラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、ニソルジピン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、バルデナフィルを投与中の患者
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
- [注射のみ]クレアチニンクリアランスが30mL/分未満の患者[本剤の添加物であるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンが蓄積するおそれがある。]
- 重篤な肝疾患の現症,既往歴のある患者[不可逆的な肝障害に陥るおそれがある]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[動物実験(ラット,マウス)で催奇形性が報告されている]
原則禁忌
慎重投与
- 薬物過敏症の既往歴,アレルギー既往歴のある患者
- 肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある]
- 腎障害のある患者[本剤及び代謝物等の排泄が遅延し,副作用が現れやすくなるおそれがある]
- うっ血性心不全又はその既往歴のある患者[うっ血性心不全の悪化又は再発を来すおそれがある]
- 高齢者
相互作用 併用禁忌
- トリアゾラム[トリアゾラムの血中濃度の上昇,作用の増強,及び作用時間の延長があらわれることがある]
- ピモジド,キニジン,ベプリジル[これらの薬剤の血中濃度上昇により、QT延長が発現する可能性がある。]
- シンバスタチン[シンバスタチンの血中濃度上昇により、横紋筋融解症があらわれやすくなる。]
- アゼルニジピン,ニソルジピン[これらの薬剤の血中濃度を上昇させることがある。]
- エルゴタミン,ジヒドロエルゴタミン[これらの薬剤の血中濃度上昇により、血管攣縮等の副作用が発現するおそれがある。]
- バルデナフィル[バルデナフィルのAUCが増加しCmaxが上昇するとの報告がある。]
相互作用 併用注意
- ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤(ビンクリスチン等)[ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤の副作用が増強されることがある]
- アトルバスタチン[横紋筋融解症があらわれやすくなる。]
- メチルプレドニゾロン,デキサメタゾン,ブテゾニド[これらの薬剤の副作用が増強されることがある。]
- ミダゾラム,ブロチゾラム,アルプラゾラム,シクロスポリン,タクロリムス水和物,ドセタキセル水和物,サキナビル,セレギリン,セリバスタチン,エバスチン,ゲフィニチブ,フェンタニル,[これらの薬剤の血中濃度を上昇させることがある]
- シルデナフィル[シルデナフィルとエリスロマイシンとの併用によりシルデナフィルのCmax、AUCの増加が認められたとの報告がある。]
- ワルファリン[ワルファリンの作用を増強するとの報告がある]
- ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤(ニフェジピン,ニルバジピン,フェロジピン等)ベラパミル[これらの薬剤の血中濃度を上昇させることがある。また,心機能が低下する可能性がある。]
- ジゴキシン[ジゴキシンの血中濃度を上昇させることがある。]
- クラリスロマイシン,リトナビル,エリスロマイシン[本剤の血中濃度が上昇することがある。]
- インジナビル[本剤又はインジナビルの血中濃度が上昇する可能性がある。]
- カルバマゼピン[本剤の血中濃度が低下することがある。また、カルバマゼピンの血中濃度が上昇する可能性がある。]
- リファンピシン,フェニトイン,イソニアジド[本剤の血中濃度が低下する]
- カプセルのみ:H2遮断薬,プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール等)[本剤の血中濃度が低下する可能性がある。併用する場合には両剤の投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。]
- カプセルのみ:ジダノシン[本剤の血中濃度が低下することがある。併用する場合には両剤の投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。]
臨床検査値への影響
13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)
備考欄の「※」にマウスポインタを合わせると注釈事項を表示します。
このデータは、主として発売時のデータに、今回の更新にあたり一部改訂・追加したものであり、現時点に適合しないものも含まれています。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。
菌名 | 感受性 | 標準菌株 | 標準菌のMIC | 臨床分離菌 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
MIC80 *MIC90 |
MIC60 **MIC50 |
|||||
Aspergillus flavus | ◎ | 0.36 | * 0.5 | ** 0.5 | ※ | |
Aspergillus fumigatus | ◎ | 0.28 | * 0.5 | ** 0.5 | ※ | |
Blastomyces dermatitidis | ◎ | 0.04 | ※ | |||
Candida albicans | ◎ | 0.098~4.229 | * 0.0313 | ** 0.0313 | ※ | |
Candida krusei | ◎ | 0.21 | * 1 | ** 0.5 | ※ | |
Cryptococcus neoformans | ◎ | 0.034 | * 0.5 | ** 0.25 | ※ | |
Histoplasma capsulatum var.capsulatum | ◎ | 0.018 | ※ | |||
Candida tropicalis | ○ | 2.4 | * 0.5 | ** 0.125 | ※ |