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最終データ更新日:2012-05-17
Tazobactam / Piperacillin [TAZ / PIPC]
タゾバクタム/ピペラシリン, ペニシリン系
1. 商品名
先発品
- ゾシン静注用2.25/ゾシン静注用4.5 【大鵬薬品工業, 大正富山医薬品, 富山化学工業】
2. 日本における発売年
2001(平成13)年
3. 特長
- 合成ペニシリンであるピペラシリンと新規β-ラクタマーゼ阻害剤タゾバクタムの配合剤である。
- 各種β-ラクタマーゼ産生菌に対するin vitro抗菌力はピペラシリンより強く、β-ラクタマーゼ産生菌による感染症モデル実験において、ピペラシリンより強い治療効果を示す。
- β-ラクタマーゼを産生しピペラシリン耐性菌による複雑性膀胱炎、腎盂腎炎及び敗血症に高い有効性を示した。臨床効果は複雑性膀胱炎:77.8%(175/225例)、腎盂腎炎:80.3%(57/71例)、敗血症:75.0%(3/4例)であった。
- 臨床試験における副作用発現率は4.64%(103/2221例)で、主なものは下痢・軟便(2.03%)、発疹(0.99%)、発熱(0.59%)、発赤(0.23%)、悪心・嘔吐(0.18%)、腹痛(0.18%)等であった。また臨床検査値の変動はγ-GTP上昇(10%;3例/30例)、ALT(GPT)上昇(5.05%;105例/2081例)、好酸球増多(3.82%;72例/1884例)、AST(GOT)上昇(3.69%;77例/2084例)、LDH上昇(3.33%;1例/30例)等であった。
4. 承認済有効菌種
- 本剤に感性のブドウ球菌属
- レンサ球菌属
- 肺炎球菌
- 腸球菌属
- モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス
- 大腸菌
- シトロバクター属
- クレブシエラ属
- エンテロバクター属
- セラチア属
- プロテウス属
- プロビデンシア属
- インフルエンザ菌
- 緑膿菌
- アシネトバクター属
5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種
- 肺炎桿菌
- モルガネラ・モルガニー
- バクテロイデス属
- プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)(TAZ配合以前のPIPCが元々抗菌力を有するため)
6. 用法・用量
敗血症及び肺炎の場合
- 通常、成人にはタゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウムとして、1回4.5g(力価)を1日3回点滴静注する。肺炎の場合、症状、病態に応じて1日4回に増量できる。なお、必要に応じて、静脈内注射することもできる。
- 通常、小児には1回112.5mg(力価)/kgを1日3回点滴静注する。なお、必要に応じて、静脈内注射することもできる。また、症状、病態に応じて1回投与量を適宜減量できる。ただし、1回投与量の上限は成人における1回4.5g(力価)を超えないものとする。
- 点滴静注に際しては補液に溶解して注射する。また、静脈内注射に際しては注射用水、生理食塩液又はブドウ糖注射液に溶解し、緩徐に注射する。
- 点滴静注にあたっては、注射用水を使用しないこと(溶液が等張にならないため)。
腎盂腎炎及び複雑性膀胱炎の場合
- 通常、成人にはタゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウムとして、1回4.5g(力価)を1日2回点滴静注する。症状、病態に応じて1日3回に増量できる。なお、必要に応じて、静脈内注射することもできる。
- 通常、小児には1回112.5mg(力価)/kgを1日2回点滴静注する。なお、必要に応じて、静脈内注射することもできる。また、症状、病態に応じて1回投与量を適宜減量できる。さらに、症状、病態に応じて1日3回に増量できる。ただし、1回投与量の上限は成人における1回4.5g(力価)を超えないものとする。
- 点滴静注に際しては補液に溶解して注射する。また、静脈内注射に際しては注射用水、生理食塩液又はブドウ糖注射液に溶解し、緩徐に注射する。
7. 作用機序
- TAZ:細菌が産生するβ-ラクタマーゼと複合体を形成することによりβ-ラクタマーゼを不可逆的に不活性化させることによりPIPCはβ-ラクタマーゼによる捕捉・破壊を受けることを防ぎ,β-ラクタマーゼ産生PIPC耐性株に対しても抗菌作用を発揮する.
- PIPC:細菌の細胞壁ペプチドグリカンの生合成を阻害し,殺菌的に作用する.
- (ペニシリン結合蛋白3に親和性)
- β-ラクタマーゼに安定
8. 血中半減期
1時間点滴(投与量2.5g) | β1/2 | TAZ:0.68hr | PIPC:0.58hr |
静注(投与量2.5g) | β1/2 | TAZ:0.72hr | PIPC:0.65hr |
9. 排泄経路
- 腎………TAZ 約70% PIPC 約60%
10. 臓器移行性
- ◎:≧25μg/ml
- ○:25>~≧6
- △:6>~≧1
- x:1>
- -:データなし
腎・尿路 | ◎ |
---|---|
喀痰・気管支分泌液 | - |
腸管 | - |
副鼻腔(上顎洞粘膜) | ◎ |
胸腔(肺) | ◎ |
骨 | - |
歯槽(歯肉) | - |
母乳 | - |
羊水 | - |
筋・皮下組織 | ◎ |
肝・胆汁 | ◎ |
髄液 | ○ |
腹腔 | - |
扁桃腺 | ○ |
骨髄 | - |
骨盤腔(死腔滲出液) | - |
臍帯血 | - |
眼 | - |
11. 副作用
- ◎:5%以上
- ○:0.1%以上5%未満
- △:0.1%未満
- ×:これまでに報告はない
- ?:頻度不明
- !:同系薬剤で報告がある
- !!:大量投与時に起こる
- ※:菌交代症(△) 痙攣(!!)
ショック | ? |
---|---|
過敏症 | ○~△ |
腎障害 | ? |
肝障害 | ◎~○ |
消化器障害 | ○~△ |
血液・造血器障害 | ○ |
溶血性貧血 | ? |
精神・神経系障害 | △ |
聴覚障害 | × |
Vit.B・K 欠乏症 | ? |
偽膜性大腸炎 | ? |
電解質異常 | × |
Antabuse作用 | × |
その他※ |
12. 使用上の注意
禁忌
- 本剤の成分またはペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
- 伝染性単核球症の患者[ペニシリン系抗生物質の投与で発疹が出現しやすいという報告がある]
慎重投与
- セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者〔ショックがあらわれるおそれがあるので、十分な問診を行うこと〕
- 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者〔アレルギー素因を有する患者は過敏症を起こしやすいので、十分な問診を行うこと〕
- 腎障害のある患者(血液透析患者を含む)〔高い血中濃度が持続するので、投与量の減量又は投与間隔をあけて投与すること〕
- 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者〔食事摂取によりビタミンKを補給できない患者では、ビタミンK欠乏症状があらわれることがあるので観察を十分に行うこと〕
- 出血素因のある患者[出血傾向を助長するおそれがある]
- 肝障害のある患者[血中濃度が持続するおそれがある]
- 高齢者
- 乳・幼児〔特に乳児(1歳未満)に投与する場合には下痢・軟便が発現しやすい〕
相互作用 併用注意
- プロベネシド[タゾバクタムおよびピペラシリンの半減期が延長することがある]
- メトトレキサート[メトトレキサートの排泄が遅延し,メトトレキサートの毒性作用が増強される可能性がある.血中濃度モニタリングを行うなど注意すること]
- 抗凝血薬(ワルファリン等)[血液凝固抑制作用を助長するおそれがあるので,凝血能の変動に注意すること]
臨床検査値への影響
- 本剤の投与により,クリニテスト,ベネディクト試薬,フェーリング試薬等の還元法による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること.
- 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること.
- 本剤の投与により、侵襲性アスペルギルス症の診断に用いられる血清中アスペルギルス抗原(ガラクトマンナン)の検査では、偽陽性を呈することがあるので注意すること。
13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)
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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。