製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2010-07-31

Aciclovir [ACV]

アシクロビル, 抗ウイルス剤

1. 商品名

先発品

  • ゾビラックス錠200/ゾビラックス錠400 【グラクソ・スミスクライン】
  • ゾビラックス顆粒40% 【グラクソ・スミスクライン】
  • ゾビラックス点滴静注用250 【グラクソ・スミスクライン】

後発品

  • アイラックス錠200mg/アイラックス錠400mg 【辰巳化学】
  • アクチオス錠200/アクチオス錠400 【大洋薬品工業】
  • アクチオス顆粒40% 【大洋薬品工業】
  • アクチオス点滴静注用250mg/アクチオス点滴静注用250mgキット 【大洋薬品工業】
  • アクチダス点滴静注用250mg 【シオノケミカル, マイラン製薬, 光製薬】
  • アシクリル点滴静注用250mg 【アイロム製薬, 扶桑薬品工業】
  • 点滴静注用アシクリルバッグ250mg/100mL 【アイロム製薬, 扶桑薬品工業】
  • アシクロビン錠200/アシクロビン錠400 【日医工, 日本ケミファ】
  • アシクロビン顆粒40% 【日医工, 日本ケミファ】
  • アシクロビン点滴静注250mg 【日医工, 日本ケミファ】
  • アシビル内服ゼリー200mg 【日医工, 日医工ファーマ, 興和テバ】
  • アシビル内服ゼリー800mg 【日医工, 日医工ファーマ, 興和テバ】
  • アシロベック錠200/アシロベック錠400 【沢井製薬】
  • アシロベック顆粒40% 【沢井製薬】
  • アシロベックDS80% 【沢井製薬】
  • アシロベック点滴静注用250mg 【沢井製薬】
  • アシロミン錠200/アシロミン錠400 【メディサ新薬, 化研生薬】
  • アストリックドライシロップ80% 【日本化薬】
  • グロスパール顆粒40% 【高田製薬, 和光堂】
  • グロスパールシロップ8% 【高田製薬】
  • クロベート錠200/クロベート錠400 【ポーラファルマ】
  • ゾビクロビル錠200/ゾビクロビル錠400 【日本薬品工業】
  • ゾビスタット顆粒40% 【長生堂製薬, 田辺製薬販売, マイラン製薬, 日本ジェネリック】
  • トミール点滴静注用キット250mg 【田辺三菱製薬】
  • ナタジール点滴静注用250mg 【富士薬品, ニプロファーマ】
  • ビクロックス錠200/ビクロックス錠400 【小林化工, Meiji Seika ファルマ】
  • ビクロックス顆粒40% 【小林化工, Meiji Seika ファルマ】
  • ビクロックスシロップ8% 【小林化工, Meiji Seika ファルマ】
  • ビクロックス点滴静注125mg/ビクロックス点滴静注250mg 【小林化工, Meiji Seika ファルマ】
  • ビゾクロス錠200/ビゾクロス錠400 【大正薬品工業】
  • ビゾクロス顆粒40% 【大正薬品工業】
  • ビルヘキサル錠200mg/ビルヘキサル錠400mg 【サンド, 富士製薬工業, 日本ジェネリック】
  • ビルヘキサル顆粒40% 【サンド】
  • 点滴静注用ビルヘキサル250mg 【サンド】
  • ファルラックス錠200/ファルラックス錠400 【キョーリンリメディオ】
  • ベルクスロン錠200/ベルクスロン錠400 【東和薬品】
  • ベルクスロン顆粒40% 【東和薬品】
  • ベルクスロン注射液250 【東和薬品】
  • ベルクスロン点滴静注用250mg 【東和薬品】
  • アシクロビル錠200mg「タナベ」/アシクロビル錠400mg「タナベ」 【長生堂製薬, 田辺製薬販売, 田辺三菱製薬】
  • アシクロビル錠200mg「マイラン」/ アシクロビル錠400mg「マイラン」 【マイラン製薬】
  • アシクロビル注250mg「科薬」 【ポーラファルマ】

2. 日本における発売年

1985(昭和60)年

3. 特長

  • ウイルスのチミジンキナーゼによって選択的に活性型となる.
  • 選択的にウイルスDNAポリメラーゼを抑制することによりウイルスDNAの複製を阻害し,ウイルスの増殖を抑制する.
  • ヘルペス性脳炎,髄膜炎に優れた臨床効果が期待できる.

4. 承認済有効菌種

  • 単純ヘルペスウイルス
  • 水痘・帯状疱疹ウイルス

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

  • EBウイルス

6. 用法・用量

[内]

  • (1)単純疱疹
  • 1回200 mg,1日5回(増減)
  • (2)骨髄移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
  • 1回200 mg,1日5回骨髄移植施行7日前から施行後35日まで投与(増減)
  • (3)帯状疱疹
  • 1回800 mg,1日5回(増減)
  • (4)水痘
  • 小児1回20 mg/kg,1日4回(増減)。1回最高量800mg

[注]

  • 1回5 mg/kgを1日3回,8時間ごとに1時間以上かけて,7日間点滴静注。脳炎・髄膜炎では,必要に応じて投与期間の延長若しくは増量ができる
  • 上限は1回10 mg/kgまで
  • 注射液の調製法は添付文書参照

外皮用

  • 1日数回塗布

眼科用

  • 1日5回塗布
  • 症状により適宜回数を減らす

7. 作用機序

  • ウイルスのチミジンキナーゼにより一リン酸化され,宿主細胞チミジンキナーゼによりアシクロビル三リン酸となる.このものは正常基質であるデオキシグアノシン三リン酸と拮抗してウイルスDNAポリメラーゼを特異的に阻害し,ウイルスDNA鎖伸長を停止させる.

8. 血中半減期は比較的長い

1時間点滴 β1/2 150分
経口 β1/2 150分
(t max:投与後90分)

9. 排泄経路

  • 腎………約76%

10. 臓器移行性

  • ◎:極めて良好
  • ○:良好
  • △:あまり良くない
  • x:ほとんど移行なし
  • ?:不明
腎・尿路
肝・胆汁
喀痰・気管支分泌液
骨髄
骨盤腔
臍帯血(経口)
腹腔
母乳(経口)
扁桃腺
羊水(経口)
髄液
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
ショック
過敏症 △~○
腎障害 △~○
肝障害
消化器障害 △~○
血液・造血器障害 ○~△
溶血性貧血
精神・神経系障害
聴覚障害
Vit.B・K 欠乏症
偽膜性大腸炎 ×
電解質異常
Antabuse作用

12. 使用上の注意

禁忌

  • 本剤の成分あるいは塩酸バラシクロビルに対し過敏症の既往歴のある患者

原則禁忌

慎重投与

  • 腎障害のある患者
  • 肝障害のある患者[肝障害が増悪するおそれがある]
  • 高齢者
  • 小児

相互作用 併用注意

  • プロベネシド[本剤の排泄が抑制され、本剤の平均血漿中半減期が18%延長し、平均血漿中濃度曲線下面積が40%増加するとの報告がある]
  • シメチジン[アシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度 曲線下面積が27%増加するとの報告がある(塩酸バラシクロビルでのデータ)]
  • ミコフェノール酸モフェチル[本剤及びミコフェノール酸モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方の平均血漿中濃度曲線下面積が増加するとの報告がある]
  • テオフィリン[本剤との併用によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある]

臨床検査値への影響

13. 抗ウイルス作用

ウイルス種培養系ID50*
実験室株(標準株)臨床分離株
Herpes simplex virus 1Vero0.023μg/ml0.034~0.173μg/ml
Herpes simplex virus 2Vero0.032μg/ml0.365~0.445μg/ml
Cytomegalovirus8.6~98μM31~129μM
Varicella-zoster virus0.450μg/ml0.844~1.554μg/ml

*ID50:50% inhibitory dose(抗ウイルス剤を全く加えない場合のウイルス量に比し,ウイルス量を50%抑制させる抗ウイルス剤の濃度,ED50と同じ)