本サイトの提供情報は、「治療の参考」として提供するものであり、 実際の使用に当たっては、「添付文書」等の各製薬会社が提供する情報に従ってご使用ください。
最終データ更新日:2007-03-31
Flucytosine [5-FC]
フルシトシン, 抗真菌剤
1. 商品名
先発品
- アンコチル錠500mg 【共和薬品工業】
2. 日本における発売年
1979(昭和54)年
3. 特長
- 経口投与で深在性真菌症の治療が可能である.
- 腎毒性がほとんど認められず,腎障害患者にも投与が可能である.
4. 承認済有効菌種
- クリプトコックス
- カンジダ
- アスペルギルス
- ヒアロホ-ラ
- ホンセカエア
5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種
- スポロトリックス属
6. 用法・用量
- 1日,尿路及び消化管真菌症には50~100 mg/kg,その他には100~200 mg/kg,4回に分服(増減)
7. 作用機序
- 真菌細胞膜のシトシン透過酵素を介して真菌細胞内に取り込まれ,シトシン脱アミノ酵素により5-FUとなり,真菌の核酸合成系等を阻害して抗真菌作用を発揮する.
8. 血中半減期は長い
経口 | β1/2 | 300分 | |
(t max:投与後240分) |
9. 排泄経路
- 腎………90%
- 腸管………約10%
10. 臓器移行性
- ◎:≧10μg/ml
- ○:10>~≧1
- △:1>~≧0.5
- x:0.5>
- -:データなし
- *:実験動物デ-タ
- ※:常用量×3以上の投与
腎・尿路 | ◎※ |
---|---|
肝・胆汁 | ◎* |
喀痰・気管支分泌液 | ◎ |
骨髄 | ― |
骨盤腔 | ― |
臍帯血 | ― |
骨 | ◎※ |
腹腔 | ― |
母乳 | ― |
扁桃腺 | ― |
羊水 | ― |
髄液 | ◎※ |
腸管 | ◎* |
副鼻腔 | ― |
筋・皮下組織 | ◎* |
胸腔 | ― |
眼 | ◎※ |
歯槽 | ― |
11. 副作用
- ◎:5%以上
- ○:0.1%以上5%未満
- △:0.1%未満
- ×:これまでに報告はない
- ?:頻度不明
- !:同系薬剤で報告がある
- !!:大量投与時に起こる
ショック | × |
---|---|
過敏症 | ○ |
腎障害 | ○ |
肝障害 | ○ |
消化器障害 | ◎~○ |
血液・造血器障害 | ○ |
溶血性貧血 | × |
精神・神経系障害 | ○ |
聴覚障害 | ○ |
Vit.B・K 欠乏症 | × |
偽膜性大腸炎 | × |
電解質異常 | ○ |
Antabuse作用 | 無 |
12. 使用上の注意
警告
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用により,重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれがあるので,併用を行わないこと
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者
原則禁忌
慎重投与
- 血液障害のある患者又は既往に血液障害を起こした患者[重篤な血液障害が現れることがある]
- 腎障害のある患者[腎排泄の障害により本剤が蓄積するので,用量並びに投与間隔に留意して使用する]
- 肝障害のある患者[重篤な肝障害が現れるおそれがある]
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
重要な基本的注意
- 腎障害のある患者に投与する場合は,投与前にクレアチニン・クリアランス試験を行い,投与量に十分注意すること
- 本剤の投与に際しては血液検査,腎機能・肝機能検査等を定期的に行うこと
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後,本剤の投与を行う場合は,少なくとも7日以上の間隔をあけること
相互作用 併用禁忌
- テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤 (ティーエスワン)[早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので,テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本剤を投与しないこと]
相互作用 併用注意
- 放射線照射や骨髄抑制を起こすおそれのある薬剤[骨髄機能抑制作用を増強する場合がある]
- アムホテリシンB[本剤の毒性(骨髄抑制作用)が増強されるおそれがある。]
臨床検査値への影響
- 酵素法によるクレアチニン値の測定ではみかけ上の高値を呈することがあるので注意する
13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)
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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。
菌名 | 感受性 | 標準菌株 | 標準菌のMIC | 臨床分離菌 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
MIC80 *MIC90 |
MIC60 **MIC50 |
|||||
Acinetobacter spp. | ◎ | 0.39 | ||||
Aspergillus fumigatus | ◎ | 0.5~2 | ||||
Candida albicans | ◎ | 0.5~2 | ||||
Candida glabrata | ◎ | <0.5 | ||||
Candida krusei | ◎ | 0.5~2 | ||||
Cryptococcus neoformans | ◎ | <0.5 | ||||
Coccidioides immitis | ○ | 0.5 | ||||
Histoplasma capsulatum | ○ | 1.5~>100 | ||||
Trichophyton spp. | × | >500 |