製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2010-07-31

Fluconazole [FCZ]

フルコナゾール, 抗真菌剤

1. 商品名

先発品

  • ジフルカンカプセル50mg/ジフルカンカプセル100mg 【ファイザー】
  • ジフルカン静注液50mg/ジフルカン静注液100mg/ジフルカン静注液200mg 【ファイザー】

後発品

  • フルカード静注液100mg/フルカード静注液200mg 【大洋薬品工業】
  • ニコアゾリン注射液0.1%[50mg]/ニコアゾリン注射液0.2%[100mg]/ニコアゾリン注射液0.2%[200mg] 【イセイ】
  • ビスカルツ注0.1%(50mL)/ビスカルツ注0.2%(50mL)/ビスカルツ注0.2%(100mL) 【扶桑薬品工業, 旭化成ファーマ】
  • フラノス点滴静注液50mg/フラノス点滴静注液100mg/フラノス点滴静注液200mg 【富山化学工業, 大正富山医薬品】
  • フルカジールカプセル50mg/フルカジールカプセル100mg 【日本ジェネリック】
  • フルコナゾンカプセル50/フルコナゾンカプセル100 【日医工, 日医工ファーマ】
  • フルコナゾン静注100mg/フルコナゾン静注200mg 【日医工, 日医工ファーマ】
  • フルゾナール静注液0.2w/v%[100mg]/フルゾナール静注液0.2w/v%[200mg] 【サンド】
  • フルタンゾール注0.1%/フルタンゾール注0.2%(50mL)/フルタンゾール注0.2%(100mL 【ニプロファーマ, 日本ケミファ】
  • ミコシストカプセル50mg/ミコシストカプセル100mg 【高田製薬, 塩野義製薬】
  • ミコシスト静注液 0.1%(50mg)/ミコシスト静注液 0.2%(100mg)/ミコシスト静注液 0.2%(200mg) 【高田製薬, 塩野義製薬】
  • フルコナゾールカプセル50mg「F」/フルコナゾールカプセル100mg「F」 【富士製薬工業】
  • フルコナゾール静注液0.1%「F」/フルコナゾール静注液0.2%「F」(50mL)/フルコナゾール静注液0.2%「F」(100mL) 【富士製薬工業】
  • フルコナゾールカプセル50mg「サワイ」/フルコナゾールカプセル100mg「サワイ」 【沢井製薬】
  • フルコナゾール静注液100mg「サワイ」/フルコナゾール静注液200mg「サワイ」 【沢井製薬】
  • フルコナゾールカプセル50mg「マイラン」/フルコナゾールカプセル100mg「マイラン」 【マイラン製薬】
  • フルコナゾール静注液50mg「マイラン」/フルコナゾール静注液100mg「マイラン」/フルコナゾール静注液200mg「マイラン」 【マイラン製薬, 協和発酵キリン】
  • フルコナゾールカプセル50mg「アメル」/フルコナゾールカプセル100mg「アメル」 【共和薬品工業】
  • フルコナゾール静注100mg「トーワ」/ フルコナゾール静注200mg「トーワ」 【東和薬品】

2. 日本における発売年

1989(平成1)年

3. 特長

  • 抗真菌剤としては,体液・組織移行性が良好である.
  • 抗真菌剤としては,副作用が少ない.
  • 耐性を獲得しにくい.

4. 承認済有効菌種

  • カンジダ属及びクリプトコッカス属による次の感染症:真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

  • トリコスポロン属
  • トリコフィトン属
  • マラセチア属

6. 用法・用量

  • カンジダ症には50~100 mg,クリプトコッカス症,アスペルギルス症には50~200 mg,1日1回内服又は静注
  • 重症又は難治性真菌感染症には1日400 mgまで増量できる

7. 作用機序

  • チトクロームP-450と結合することにより,真菌の細胞膜の成分であるエルゴステロール合成経路上の24-メチレンジヒドロラノステロールの脱メチル化反応を阻害する.

8. 血中半減期は非常に長い

静注 β1/2 1860分
経口 β1/2 1860分
(t max:投与後100分)

9. 排泄経路

  • 腎………約70%(静注,経口)

10. 臓器移行性

  • ◎:≧25μg/ml
  • ○:25>~≧3
  • △:3>~≧1
  • x:1>
  • -:データなし
  • *:実験動物デ-タ
  • ☆:経口時
腎・尿路
肝・胆汁
喀痰・気管支分泌液 ○☆
骨髄 ○*
骨盤腔
臍帯血
腹腔
母乳
扁桃腺
羊水
髄液
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
※:Stevens-Johnson,Lyell(△)
ショック
過敏症
腎障害
肝障害 ◎~○
消化器障害
血液・造血器障害
溶血性貧血 ×
精神・神経系障害
聴覚障害 ×
Vit.B・K 欠乏症 ×
偽膜性大腸炎 ×
電解質異常
Antabuse作用
その他※

12. 使用上の注意

禁忌

  • 次の薬剤を投与中の患者:トリアゾラム
  • 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある患者

慎重投与

  • 次の薬剤を投与中の患者:テルフェナジン,アステミゾール,シサプリド
  • 薬物過敏症の既往歴のある患者
  • 腎障害のある患者[血中濃度が持続するので,投与量を減ずるか,投与間隔をあけて使用する]
  • 肝障害のある患者[肝障害を悪化させることがある]

相互作用 併用禁忌

  • トリアゾラム[トリアゾラムの代謝が阻害され,代謝遅滞による血中濃度の上昇,作用の増強及び作用時間延長の報告がある]

相互作用 併用注意

  • テルフェナジン,アステミゾール[他のアゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール,ミコナゾール)との併用により,まれにQT延長,心室性不整脈(torsades de pointesを含む),あるいは外国では心停止(死亡を含む)などの心血管系副作用の報告がある]
  • シサプリド[他のアゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール経口剤:国内未発売)との併用により,QT延長,心室性不整脈(torsades de pointesを含む)等の報告がある]
  • ワルファリン[プロトロンビン時間延長の報告がある]
  • タクロリムス水和物,フェニトイン,シクロスポリン,スルホニル尿素系血糖降下剤,ジドブジン[これらの薬剤の血中濃度上昇の報告がある]
  • リファンピシン[本剤の血中濃度の低下及び血中濃度半減期の減少の報告がある]

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Candida albicans 0.2~0.39
Candida glabrata 3.13~12.5
Candida tropicalis 0.39~1.56
Cryptococcus neoformans 12.5~25
Aspergillus fumigatus × 23.9~43.5