製剤の調査資料

[出典]
山口恵三、石井良和、岩田守弘、他:Meropenemを含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス。

最終データ更新日:2007-03-31

Voriconazole [VRCZ]

ボリコナゾール, 抗真菌薬

1. 商品名

先発品

  • ブイフェンド錠50mg/ブイフェンド錠200mg 【ファイザー】
  • ブイフェンド200mg静注用 【ファイザー】

2. 日本における発売年

2005(平成17)年

3. 特長

  • アスペルギルス症に対して優れた臨床効果
  • 幅広い抗真菌スペクトル アスペルギルス、カンジタ、クリプトコッカス、フサリウム、スケドスポリウム
  • 優れた組織移行性(ラット) 肺、肝、腎をはじめ脳、眼などの重要臓器に優れた組織移行性
  • 注射と経口の選択が可能 (バイオアベイラビリティー約96%)患者の状態に応じて選択可能
  • 副作用発現率 深在性真菌症を対象とした国内第Ⅲ相試験での副作用発現率は、総症例100例中78例(78%)であった。 主な副作用は、羞明(25%)、視覚障害(24%)、γーGTP増加(11%)、悪心(8%)、嘔吐(8%)、肝機能異常(8%)、頭痛(8%)、AST増加(7%)、ALP(7%)、ALT(6%)、霧視(5%)、肝障害(5%)、食欲不振(5%)、不眠症(5%)等であった。

4. 承認済有効菌種

次の重症又は難治性真菌感染症

  • 侵襲性アスペルギルス症、肺アスペルギローマ、慢性壊死性肺アスペルギルス症
  • カンジダ血症、食道カンジダ症、カンジダ腹膜炎、気管支・肺カンジダ症
  • クリプトコックス髄膜炎、肺クリプトコックス症
  • フサリウム症
  • スケドスポリウム症

5. 承認はとれていないが、臨床的に有効と思われる菌種

6. 用法・用量

ブイフェンド200mg静注用

  • 通常、成人にはボリコナゾールとして初日は1回6mg/kgを1日2回、2日目以降は1回3mg/kg又は1回4mg/kgを1日2回点滴静注する。

ブイフェンド錠50mg・ブイフェンド錠200mg

  • 通常、成人(体重40kg以上)にはボリコナゾールとして初日に1回300mgを1日2回、2日目以降、は1回150mg又は1回200mgを1日2回食間投与する。なお、症状に応じて又は効果不十分の場合には、増量できるが、初日投与量の上限は1回400mg1日2回、2日目以降投与量の上限はは1回300mg1日2回までとする。
  • また、体重40kg未満の患者には、ボリコナゾールとして初日は1回150mgを1日2回、2日目以降は、1回100mgを1日2回食間投与する。なお症状に応じて又は効果不十分の場合には2日目以降の投与量を1回150mg1日2回まで増量できる。

7. 作用機序

  • ボリコナゾールは真菌細胞において、膜成分のエルゴステロール生合成を阻害することにより抗真菌作用を示す。また、本剤のエルゴステロール生合成阻害作用は真菌に選択的で、ラット肝細胞でのステロール生合成に対する影響は少ない。また、Aspergillus SPPに対し、MICの約2倍の濃度で殺真菌作用を示す。

8. 血中半減期は長い

経口(100mg) T1/2 4.8hr
経口(200mg) T1/2 6.1hr
経口(300mg) T1/2 6.8hr
経口(400mg) T1/2 11.9hr
点滴(1.5mg/kg) T1/2 3.2hr
点滴(3mg/kg) T1/2 4.4hr
点滴(6mg/kg) T1/2 6.4hr

9. 排泄経路

  • 腎………約80%
  • 肝臓………約20%

10. 臓器移行性

  • ◎:≧25μg/ml
  • ○:25>~≧3
  • △:3>~≧1
  • x:1>
  • -:データなし
腎・尿路
肝・胆汁
喀痰・気管支分泌液
骨髄
骨盤腔
臍帯血
腹腔
母乳
扁桃腺
羊水
髄液
腸管
副鼻腔
筋・皮下組織
胸腔
歯槽

11. 副作用

  • ◎:5%以上
  • ○:0.1%以上5%未満
  • △:0.1%未満
  • ×:これまでに報告はない
  • ?:頻度不明
  • !:同系薬剤で報告がある
  • !!:大量投与時に起こる
ショック
過敏症
腎障害
肝障害
消化器障害
血液・造血器障害
溶血性貧血
精神・神経系障害
聴覚障害
Vit.B・K 欠乏症
偽膜性大腸炎
電解質異常
Antabuse作用
S-J症候群、Lyell症候群、多形紅斑
QT延長、心室性頻脈、心室細動、不整脈、完全房室ブロック
心不全
呼吸窮迫症候群
ギラン・バレー症候群

12. 使用上の注意

禁忌

  • 次の薬剤を投与中の患者: リファンピシリン、リファブジン、エファビレンツ、リトナビル、カルバマゼピン、長期作用型バルビツール酸誘導体、ピモジド、硫酸キニジン、シサプリド、麦角アルカロイド(エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン)
  • 本剤の成分に対して過敏症に既往歴のある患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある患者

原則禁忌

  • 重度の腎障害のある患者(クレアチニンクリアランス<30mL/min)
    重度の腎機能患者への使用経験が少ない。 腎排泄である注射剤の添加物スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウム(SBECD)の蓄積により腎機能障害が悪化するおそれがあるので、経口剤の投与を考慮すること。

慎重投与

  • 薬物過敏症の既往歴のある患者
  • 重度の肝機能低下のある患者
  • 不整脈を有する患者及び不整脈を発現しやすい状態にある患者
  • 注射剤

  • 中等度の腎機能のある患者

相互作用 併用注意

  • 抗てんかん薬(フェニトイン)、HIVプロテアーゼ阻害薬(インジナビルを除く)メシル酸サキナビル、アンプレナビル、メシル酸ネルフィナビル
  • 非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NNRTI) メシル酸デルビルジン、免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス水和物)、クマリン系抗凝固薬(ワルファリンカリウム)
  • プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール)、ベンゾジアゼピン系ミダゾラム、HMG-COA還元阻害薬、スルホニル尿素系血統降下薬(トルブタミド)
  • ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍薬(硫酸ビンクリスチン、硫酸便ブラスチン)

13. 標準菌に対するMICと臨床分離菌に対するMIC80,MIC60(μg/ml)

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このデータは、主として発売時のデータであり、必ずしも現時点に適合するものではありません。 最新データについては、各種サーベイランスデータをご参考ください。

菌名 感受性 標準菌株 標準菌のMIC 臨床分離菌 備考
MIC80
*MIC90
MIC60
**MIC50
Aspergillus flavus
Aspergillus fumigatus
Aspergillus nidulans
Aspergillus niger
Aspergillus terreus
Candida albicans
Candida famata
Candida glabrata
Candida guilliermondii
Candida kefyr
Candida krusei
Candida parapsilosis
Candida tropicalis
Cryptococcus spp.
Fusarium spp.
Scedosporium spp.